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2006年07月17日
貧血検診(その他)
貧血について
貧血とは「血が少ない」「血が薄い」ようなイメージ、すなわち低血圧的な印象がありますが実際にはそうではなく、血液の中に含まれる赤血球やヘモグロビン、ヘマトクリットなど特定成分が正常値より減少した状態を指します。
具体的には
・赤血球……1立方ミリメートル中に男性450万個以下、 女性400万個以下
・ヘモグロビン濃度……1デシリットル中に男性12g以下、女性10g以下
・ヘマトクリット値※……一定量の血液中に存在する赤血球の容積の割合が男性35~40%以下、女性30~35%以下
の場合を指します(検査機関などにより多少上下の幅があります)。特に「ヘモグロビン」不足の場合を貧血と呼ぶ事が多いようです。
血液は体中に酸素やその他成分を運ぶ重要な役割があります。つまり貧血というのは血液成分に何らかの不具合が生じているわけで、結果として体内の細胞組織が酸素不足やその他栄養分の不足が生じ、多種多彩な症状が出てくるのです。
一方低血圧の場合は、血液そのものにではなく、血液を体中に循環させる圧力が正常よりも低下している状態を指します。こちらは血液そのものが循環しにくくなるので、結果として血液で運ばれうる酸素や養分がうまく行き渡らず、貧血と似たような症状が出ます。貧血と低血圧は似て非なるものなので注意が必要です。
また、急に立ち上がることで起きるめまいや立ちくらみのような症状を起こすことを「脳貧血」といいますが、これは脳への血液供給が一次的に不足しておきる一過性のもので、こちらも貧血とは別ものです。
※ヘマトクリット値……血液の中にどれくらいの割合で赤血球が含まれているかを容積比で表したもの。この値が大きいと赤血球が多く「血漿(けっしょう)」が少ないので血が濃くてどろどろし、小さいと血漿が多くさらさらしています。最近健康のバロメーターの一つとして「さらさら血」などがよく言われていますが、ここから来ています。
貧血の原因
貧血の原因は主にヘモグロビンの不足によるものです。そのヘモグロビンは鉄分で合成されるため、鉄分が不足すると結果として貧血になりやすくなります。鉄分不足による貧血を総じて「鉄欠乏性貧血」と呼びます。出血の多い状況やそれに類する時、つまり女性なら月経や妊娠、出産、授乳時、男性なら胃かいよう、悪性腫瘍、痔などによる慢性出血が原因になります。
また貧血の原因は鉄不足に限らず、ビタミンB12や葉酸不足が原因で起きる巨赤芽球貧血(悪性貧血)、赤血球の寿命が正常値より短い場合に起きる溶血性貧血、骨髄そのものトラブルや赤血球のもとである赤芽球を原因として赤血球不足が生じて起きる再生不良性貧血、リウマチや内臓疾患などによって生じる続発性貧血などがあります。
主な貧血の原因である鉄不足や出血は、男性よりも女性に多く見られる状況です。鉄不足は栄養バランスを無視したダイエット、出血は月経など、どちらかといえば男性より女性(月経は女性のみ)に起きうる状況であり、結果として女性の方が貧血になりやすいというデータが出るのです。
貧血の症状
貧血の症状はその原因や程度、進行の速さによって実にさまざまです。軽度の貧血の場合は症状はまったく現れず、健常人とほぼ同じ状況ですが、運動をして体内に多量の酸素が必要とされた際にのみ症状が見られます。逆に重度になると休んでいても症状が現れる場合があります。
軽い貧血の場合は疲れやすくなったり、体力の過剰な消耗を感じたり、顔色が青くなります。また重い貧血になると失神やめまい、のどが渇く、汗が多量に出る、脈が速くなる(一定血液量中の酸素が少ないため多量の血液で補おうとするから)、呼吸の加速、ふくらはぎのけいれん、息切れなどが生じます。要は酸素が不足するため、それを補おうとして身体がさまざまな反応を起こすわけです。
貧血の予防
一般的な貧血を防ぐには食生活の改善が第一です。鉄分を多く採るよう心がけましょう。また食品中に含まれる鉄分には吸収のよい「ヘム鉄」とそうでない「非ヘム鉄」がありますが、もちろんヘム鉄の多い食品を採る事が重要です。ヘム鉄は動物性食品、特にレバーには大量に含まれています。野菜に含まれることの多い非ヘム鉄も、ヘム鉄と一緒に採ることで吸収率が上がるので、「鉄不足だから肉ばかり食べよう」という偏った食生活をするのではなく、肉と野菜を組み合わせたバランスのよい食事を採るのが大切です。
また、鉄分だけに限らずたんぱく質やその他栄養分が不足すると、体調不良となり、赤血球が十分に生産されず、結局貧血となってしまいます。ダイエットをしていると栄養バランスが崩れるだけでなく、たんぱく質や肉、魚などの摂取量が少なくなり、鉄分も採れなくなるので貧血ダブルパンチ状態になります。身体を健康体にするためのダイエットは必要ですが、過度の食事制限は貧血などを引き起こしてしまいます。
食事を抜く人の方が、一日三食採る人よりも貧血の割合が多いことも知られています。少量でもよいのでバランスのよい食事を一日三食採るようにしましょう。そしてゆっくりとよくかんで食べることも大切です。逆に食べ過ぎることで胃腸に負担がかかると、かえって赤血球の製造能力が低下してしまうので、こちらも注意が必要です。
さらに他の病気でも注意事項としてよくあげられますが、胃腸はストレスが影響を受けやすい臓器でもあります。ストレスをためないように心がけることも大切です。
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