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2006年07月17日

痛風検診(その他)

2006年07月17日 09:29 | 解説 , その他

痛風について

「痛風」とはその由来が「風が吹くぐらいのちょっとした衝撃でも痛いと感じる」(別説ではラテン語の「滴」から来ているという話もあります)というくらいに痛みが前面に表現される病気です。実際痛風は西洋では古くからその症状と共に伝えられており、紀元前においても医学の父と呼ばれているヒポクラテス(Hippocrates)がその症状と共に痛風を記録しています。また、歴史上の多くの人物、例えばアレクサンダー大王やプロシアのフリードリヒ大王、フランスのルイ14世、宗教改革絡みで世界史に登場するマルチン・ルターやクロムウェル、ミケランジェロやレオナルド・ダヴィンチ、ゲーテ、ニュートン、ダーウィンなど、ジャンルを問わず痛風にかかった記録が残っています。

痛風は別名「贅沢病」「飽食病」ともいわれ、食事環境が良くなる、贅沢で偏った食生活や飲酒過多によって発生する病気でもあります。日本ではかつて痛風はほとんど発生しませんでしたが(明治時代くらいまでは「日本には痛風はほとんどない」という記録もあります)、戦後になって食生活の欧米化と食糧事情の改善により、急速に増えてきます。現在では数十万人の患者がいると推測されます。

身の回りの痛風患者の傾向や上記の歴史上の人物の列挙からもお分かりの通り、痛風は男性が発病する可能性が高い病気でもあります。これは後ほど説明しますが、通風の原因である尿酸の濃度が、男性の方が女性より高いからです。

痛風の原因

痛風の原因は血液中にある尿酸という物質が必要以上に増えてしまうことにあります。尿酸が必要以上に増えると液状の形から固形化し、身体のさまざまな部分にたまるようになります。そしてたまった部分に痛みを感じるのです(正確には、この固形化尿酸=尿酸ナトリウムを異物と見なした白血球が、尿酸に対して攻撃を行う際に活性化し、そのため組織が炎症を起こすのです)。

尿酸は身体の中で(最近よく聞くようになった)「プリン体」という物質が分解されてできたもので、人間の体内ではこれ以上分解ができない老廃物です。このプリン体は細胞の作り変えに必要不可欠なもので、腎臓で代謝が行われ、尿酸という形の老廃物となり、体外に排出されます。通常なら身体の外に出るはずの尿酸がたまってしまい痛風の原因となるということは、要するに「尿酸が多すぎる」か「尿酸がうまく外に出て行かない」のどちらかということになります。

「尿酸が多すぎる」のは、要するに「ぜいたくのしすぎ」。プリン体を含む食べ物を採りすぎた結果です。「尿酸がうまく外に出て行かない」のは、腎臓やその周囲の気管に何らかのトラブルが生じているものと思われます。

痛風の症状

痛風の一番顕著な症状は「痛み」です。一番症状が起こりやすい場所は足の親指の付け根部分ですが、他にアキレス腱やくるぶし、かかと、親指以外の足の関節、手首や指の関節、ひじの関節などで猛烈な痛みを感じます。また、耳などの場合もあります。これらの症状が発生する場合は、すべての関節が同時に痛むのではなく、ある特定の関節にだけ痛む場合がほとんどです。また、関節の部分が赤くはれあがったり、炎症が発生する場合も痛風の可能性があります。

また、検査パラメータ的には、血清尿酸値が1デシリットルあたり7.0ミリグラムを超えた場合、高尿酸症と診断され、痛風の可能性が高いと診断されます。

痛風はその症状や原因から、高血圧症や肥満、高中性脂肪・コレステロール血症、糖尿病、尿酸結石、腎臓疾患などの合併症を引き起こす可能性があります。

痛風の予防

「贅沢病」といわれるように、食事習慣に気をつけ、特にプリン体を多く含むものの摂取は控えるべきです。また、アルコール分にも配慮すべきでしょう。最近は低プリン体のものも出てきてはいますが、アルコールそのものが尿酸値を高めるので注意が必要なことに違いはありません。

また、水分をこまめにとることも良いとされています。ただしこの際に甘いものやアルコールを飲んでしまうのは逆効果です。

さらに、運動不足や運動のしすぎ、ストレスなども高尿酸血症を引き起こし、痛風の原因を作ってしまう場合もあります。

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