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2006年07月17日
前立腺がん検診(がん)
前立腺がんについて
前立腺がんとはその名前の通り、前立腺の中にがん細胞が発生するがんの一種で、前立腺が男性だけに存在する臓器なことから、男性だけの病気でもあります。場所は直腸に隣接するところで、恥骨の後方・膀胱(ぼうこう)の下側にあります。ヨーロッパやアメリカでは死亡率の2割をも占めるほど頻度の高いがんですが、日本では4%未満とかなり低い割合です。しかし生活習慣の欧米化や高齢化社会の到来と共にその可能性は高くなりつつあります。現在の日本では特に高齢者がかかりやすく、「高齢者のがん」ともいわれています。
前立腺がんは、前立腺の細胞が暴走するかのように自己増殖するもので、他のがん同様に遺伝子のトラブルによるものと見受けられていますが、詳しい理由はまだ分かっていません。ただ、前立腺がんのほとんどは男性ホルモンで増殖する傾向を持つことから、男性ホルモンの作用を抑えることでがんの増殖(進行)を止めて、がん細胞の一部を死滅することができるとされています。
前立腺がんの原因
他のがん同様に、前立腺がんの発生原因ははっきりとは分かっていません。ただ、事例の多いアメリカやヨーロッパでの研究報告によれば、脂肪分が多く含まれる食事を多量に摂取することで、前立腺がんの発生リスクが増すとされています。またそれに関連する形で、繊維成分をたくさん取ることでがんの発生要因が減少するかもしれないということが伝えられています。どちらにしても他のがん同様に、食生活に大きな理由がありそうです。
また、老化現象や、人種など遺伝子的要因も大きな理由とされていますが、こちらも科学的な研究結果によるものではありません。今後の医学の進歩に期待がかかるところです。
前立腺がんの症状
前立腺の場所(尿道をぐるりと囲むような位置)もあり、前立腺がんが発生しがん細胞が増殖すると、尿道が圧迫されることによってさまざまな症状が起こります。尿が出にくくなったり(排尿困難)や尿の回数が多くなる(頻尿)、尿が残った感じがする(残尿感)、夜間の多尿、急な尿意(尿意をもよおすとすぐに排尿したくなる状態)、下腹部不快感などがあげられます。さらにがんが進行すると、排尿困難がひどくなり、尿が出なくなる(尿閉)状態に陥る場合もあります。
がんが進行して尿道などに転移した場合、出血による血尿が見られ、膀胱に至ると失禁状態になります。尿管の圧迫により腎臓で生成された尿が流れ出ずに、水腎症になる場合もあります。
前立腺がんは周囲の部位に転移しやすいことでも知られています。リンパ節や骨に転移すると、それに伴う症状が見られるようになるのです。
一方、排尿に関する症状は前立腺肥大症とほとんど変わらないので、前立腺がんと前立腺肥大病とを勘違いしがちです。ある程度進行すれば血尿や膀胱の刺激激化で分かりますが、最終的には生体検査によって判断するそうです。
前立腺がんの予防
前立腺がんの原因が明らかになってない以上、効果的な予防法も確立されていません。他のがん同様に(原因の項目でも説明したように)脂肪分の多い食事が発生リスクを高め、食物繊維がリスクを軽減する可能性が指摘されています。【アメリカのがん協会(ACS)】の調べによると、前立腺がんの予防には、果物や野菜など身体によいとされてる食べ物を色々と摂取し、脂肪分の高い赤身の肉はひかえるように推奨しています。
また、トマトやグレープフルーツなどに含まれるリコピンががんを抑制する物質の一つではないか、イソフラボノイド、ビタミンEやミネラルのセレンが同じ効用を持つのではないか、一方でビタミンAは前立腺がんのリスクを高めるのではないかとする話もありますが、どれも検証数が少なく、また人によって効用が異なるため、一概にいいきれる類のものではないようです。
最近ではビール原料のホップに含まれる化学物質「キサントフモール」に前立腺がんの予防効果があるとする研究結果も発表されました。ただしこのキサントフモールを必要量摂取するためには一日に17本以上ものビールを飲む必要があり、研究課題はまだまだ多そうだといえます。
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