不況下も企業が求める学生像は変わらない・ポイントは「主体性」「実行力」「柔軟性」
2009年02月11日 12:00
楽天リサーチなどは2009年2月9日、2010年度新卒採用に関するインターネット調査の結果を発表した。それによると10年度の新卒採用において、人事担当者が学生選抜の際に特に重視するポイントは「主体性」「実行力」「柔軟性」の3点であることが明らかになった。また昨年度の調査結果と比べるとメンタル面での強さを求める傾向があり、精神的への重視傾向が見られるようだ(『発表ページ』)。
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今調査は2009年1月26日から27日にかけて、全国の20~60代の男女500人の人事担当者を対象に行われたもの。有効回答数は500。年齢・性別階層は未公開。
人事担当者の立場から、新卒新人に求める要素について【経済産業省の「社会人基礎力」】を元に選択肢を抽出。その上で3つまで回答してもらい、得票数を算出したのが次の結果。
人事担当として新卒新人に求める要素について
今記事の表題にもあるように、「主体性」「実行力」「柔軟性」の3項目において、重点をおいていることが分かる。他人任せではなく自分が率先して、しかも考えるだけではなく実際にアクションを起こす行動力を持ち、何か想定外の事象がおきてもフレキシブルに対応できる柔軟性を持つという、企業(の人事担当)にとっては願ってもない人材ということになる。これら人間性の根本の部分が企業側のニーズにマッチしていれば、あとは自社の色に染めることで、一線級のサラリーマンが誕生する。
しかし一方で、在学中、あるいは卒業したばかりの学生に、「主体性」「実行力」「柔軟性」この3つをすべて十分に兼ね備えているのを求めるのは難しい。多分に欠ける部分があれば、それを新人研修やOJT(On-the-Job Training:オンザジョブトレイン、指導監視をしながら実際に仕事をさせて、学ばせるというもの。いわば実地訓練)で埋め合わせていくのが企業側の責任になる。
さて、今回の調査ではまったく同じ問いを1年前にも行っている。その結果と今年度の結果を比較してその差異をグラフ化したのが次の図。去年と今年で人事担当者が求める学生像の変化が見て取れるわけだ。
人事担当として新卒新人に求める要素について(2009年度採用分)
人事担当として新卒新人に求める要素について(昨年度と今年度の差)
総合では上位3位の「主体性」「柔軟性」が大きく数字を減らし、「実行力」がわずかにプラスに転じているのみ。この3点は昨年度も今年度も最重要項目であることに違いはないものの、その重きはやや軽くなったように見える。
他方、もっとも増加したのは「ストレスコントロール」で、実に2倍近い伸びを示している。元リリースでは「昨今の経済情勢下で企業を志す学生に適度なメンタル面の強さを求めているようである」と説明し、「不景気だから精神面での強さが必要」という解釈が行われている。
しかしこれは実際には、最近(もちろん景気後退に寄るところも大きいが)サラリーマンの「うつ病」などの心神疾患問題が急増していることを受けてのものと思われる。優秀な人材で居続けてもらうためには、ちょっとしたことですぐに凹んで心が折れてしまったのでは、企業としても困ってしまうという判断なわけだ。類まれなる能力を持っていても、その能力の稼働率が低ければ、使用者側としては使い難い人材としか見られないことになる。
ストレスはその量・耐性の違いはあれど、誰しも抱えているもの。その上で、それを乗り越えていける(いけそうに見える)学生ほど、企業側のニーズにマッチした人材足りえる、ということなのだろう。
波乱万丈の中で、2009年度の新卒採用はほとんど終了し、企業の人事担当はすでに2010年度の新卒採用に向けた動きを開始している。今回のアンケート調査結果は、雇用情勢が厳しくなる中で、企業側がどのような目で新卒学生らを見ているか、その一端がかいまみれたかもしれない。
これから就職活動をする学生は、精神修行を自己鍛錬の課程に加えると、あるいは役立つこともあるだろう。
(最終更新:2013/09/04)
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