最近のテレビ番組高視聴率トップテンを表組化してみる

2009年02月07日 19:00

テレビイメージ先日(先々週)発売された経済週刊誌のうち、『週刊ダイヤモンド』と『週刊東洋経済』が非常に良い仕事をしていたとして、それをトリガーにして色々と考えたり図式化する記事企画第三弾。今回は「テレビ・新聞陥落」を取り上げている週刊東洋経済を参考に、「高視聴率トップ10」を表組化してみることにする。

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テレビ視聴率については先に【テレビ視聴時間の推移をグラフ化してみる】【民放連曰く「諸君らが愛してくれたテレビの広告費は減った。何故だ!?」】などで触れたように、最近になってNHKの「相対的」躍進と民放のちょう落ぶりが見て取れるのが実情。

「週刊東洋経済」ではビデオリサーチのデータを元に、1997年・2000年・2008年の年間高視聴率トップテンの推移を表組化し、テレビ事業体の中でもとりわけ民放各社の番組構成に対する安易な考えを暗に非難し、「このままでは豊富な制作費を注ぎ込めるNHKに視聴者を奪われるトレンドが加速していくことになるだろう」と結んでいる。

では早速、元表の資料となった【ビデオリサーチの視聴率データ】を元に表組を……と思ったら、

視聴率データをはじめあらゆる当ホームページのデータを株式会社ビデオリサーチの承諾無く、コピー・加工することを禁止します。


とあり、あえなく断念。「週刊東洋経済に載っている年代のように」段々とNHKの番組が高視聴率上位に集結しつつあることは確か、としかいえない。

そこで、NHK放送文化研究所が[このページ(nhk.or.jp)は掲載が終了しています]月ベースの視聴率を表にすることにした。この場合「月ベースなので放送中のドラマなどが有利になる」「スポーツイベントなどの片寄りが生じる」「特異事件による片寄りが発生しうる(2008年10月ならリーマン・ブラザーズ証券絡み、とか)」などの弱点があるが、大体の推移はつかみとれるはずだ。

もっとも古いのは2004年4月分。あとは各年11月のデータを定点観測的に抽出する。調査方法・母体は毎回多少ぶれがあるが、直近の2008年11月のものは3600人を層化無作為2段抽出で選択し、専門用紙を配布して記述してもらい回収したもの。

2004年6月と2004年11月以降毎年11月における、月次視聴率トップテン(NHKと民放あわせて)(黄色はNHKの番組)
2004年6月と2004年11月以降毎年11月における、月次視聴率トップテン(NHKと民放あわせて)(黄色はNHKの番組)(視聴率数字は%)

月毎の特異的番組などの影響もあるが、「週刊東洋経済」の記事にあるほどの「NHK番組が次第に上位に集まりつつあるネ」という傾向が見えるまでにはいたっていないように見える。ただし、傾向として

・ニュース番組はNHKが圧倒。しかも複数番組で高視聴率を得ている。
・民放では「SMAPxSMAP」「サザエさん」「渡る世間は鬼ばかり」が強い。
・スポーツは全般的に弱い。「11月」を取得対象としたため「東京国際女子マラソン」が上位に来ているのが目立つ程度。
・NHKは「朝ドラ」「大河ドラマ」も強い。
・クイズ番組はほぼ壊滅。わずかに「東京フレンドパーク」「行列の出来る法律相談所」などの老舗的番組が顔を見せている程度。


などが把握できる。いずれにしても、「週刊東洋経済」が指摘していたNHK最強伝説(特に報道番組と超定番のドラマ)はくつがえそうにない。

「週刊東洋経済」ではこの該当ページのタイトルに「つまらなくなるテレビ~NHK独り勝ちの皮肉・民放離れが進むワケ」と名づけ、

・クイズ番組にちょっと火がついたのでネコも杓子も状態。コストはかからないし一石二鳥。しかし視聴者のクイズ番組離れも早かった。
・ドラマやプロ野球などのスポーツなどは「金がかかる」「視聴率が低迷」で避けられる傾向。
・「セットの使いまわしがきく」「生放送だから編集費が浮く」「NHKのニュース番組の視聴率の高さに注目」などから、民放でも続々と生放送のニュース番組を新年度から展開。


などと説明している。この戦略が正しいかどうかは、来年度以降のお楽しみ、というわけだ。


今回の表で一つ注意をしておきたいことがある。それは取得データの年齢階層についてだ。毎回調査母体が違うので具体例として直近の2008年11月の調査データのものをグラフ化すると次のようになる。

2008年11月調査の調査母体の年齢階層比
2008年11月調査の調査母体の年齢階層比

ご覧の通り、若年層が少なく中堅層以降、特に高齢者の割合がかなり多い。50代以上で約半数の48.4%を占めている。視聴率の結果がやや大人向け(特に中堅以降向け)のものが多いのも、あるいはこれが一因。

ただし【「テレビの時間」高齢者は若者の2倍! 年齢で大きく異なるメディアへの接触時間】にもあるように、元々テレビとの接触時間は高齢者の方が長いことが知られている。「テレビを見ている時間の割合」という意味での視聴率を計測する意味では、この年齢階層比の方がむしろ妥当なのかもしれない。「テレビが見られている総時間に対する割合が小さい」若年層の意見=視聴番組の意見は、少数派に過ぎないからだ。

タレントが沢山登場して大騒ぎするクイズ番組は、どちらかといえば若年層向けの構成。視聴者数・時間が少ない人向けへの番組を供給過剰なまでに放送しても、視聴率が稼げるはずがない。昨今の民放の不調さは、このような「視聴者とのミスマッチ」が原因の一つなのかもしれない。


(最終更新:2013/09/04)

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