電機大手の決算予想をグラフ化してみる
2009年02月05日 08:00
2007年夏に表面化した「サブプライム・ローンショック」を皮切りに進行している金融(工学)危機は2008年10月のリーマン・ブラザーズの破たんで一層加速をつけることになった。金融市場は疑心暗鬼が相互不信を呼び、それがさらに市場の混とん化に加速をつけている。不景気の波はどとうのごとく押し寄せ、消費者の財布のヒモは固くなり、多くの商品は売上を落としていく。デパートの月次報告でも触れているように、住関品の代表アイテムである家電もまたしかりで、電機メーカーは軒並み売上を落としている。先日までに大手上昇電機企業の2009年3月期(2008年4月~2009年3月)における業績修正がほぼ出揃ったので、今回はこれをグラフ化することにした。
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主要電機メーカー9社の2009年3月期連結業績見通し
主要電機メーカーの2009年3月期連結業績見通し(営業・純損益のみ)
上のグラフは売上、営業損益(本業の損得)、純損益(本業、本業以外、特別な損得を加えた最終的に「どれくらい儲かったか」)を昨年時点の見込みと、直近の見込みで比べたもの。現時点でまだ2009年3月期は終了していないため、あくまでも見込みでしか無いが、各社とも売上を落としているのが分かる。とはいえ上のグラフでは売上が大きすぎ、営業利益や純損益が分かり難い。そこでその二つだけを抽出したのが下のグラフ。
9社のうち7社までが最終的な損得勘定で赤字に転じている。黒字を示しているのはわずかに三菱電機だけ。三洋電機はプラスマイナスゼロだが、ぴったりゼロになることはほぼありえないので、恐らくは下ぶれするものと思われる。残り7社はすべて赤字。昨年時点ではすべて最終黒字を予想していたのだから、大変な急落ぶりだ。「赤字見込み」とあるのは「まだ」発表していないだけで、よほどのウルトラCを用いない限り、黒字を維持することは難しく、ここはこの表記を用いることにした。
各データを良く見てみると、売上高が5~15%の減少であるのに対し、純損益が大きく下ぶれしているのが分かる。これは単に本業の業績が急速に悪化しているだけでなく、景気下降に伴いさまざまな特別損失(有価証券評価損や、事業の撤退などに伴う損失)を計上していることによるもの。本業と本業以外のダブルパンチがやってきたことになる。
これら大手家電メーカーは、売上を製品の輸出に頼るところが大きい。直接製品を売るだけでなく、部品なども大きく関与してくる。海外でも景気後退で消費が減退していることに加え、急激な円高で日本商品の価格的魅力が薄れたのが痛いところ。特に日立製作所の最終損益予想7000億円の赤字は衝撃的で、かつてのソニーショックならぬ「日立ショック」という言葉が市場関係者の間で語られたほど。
2009年度(2010年3月期、2009年4月~2010年3月)は、2008年度以上の厳しさが予想される。前年度は急速に景気が悪化する秋以前の、比較的堅調な時期の売上も計上されているからだ。さらに、為替や消費動向の点で、現状から回復する兆しは見られない。今後各社とも、新しい商品戦略はもちろんのこと、全般的な研究開発生産体制の見直しがせまられることだろう。
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