牛乳、食パン、レトルトカレー……プライベートブランド商品、躍進中
2009年02月04日 19:30
ヤフーバリューインサイトは2009年2月2日、プライベートブランド(PB)に関する調査結果を発表した。それによると、PB商品について昨年より購入頻度が増えた人は、PBを知っていて購入した経験がある人のうち96.7%に達することが明らかになった。中でも牛乳や食パンなど、価格高騰が特に著しかった食品で購入度合いが高い割合を示している(【発表リリース】)。
スポンサードリンク
今調査は2008年12月11日~16日までの間、20~59歳の首都圏在住の人を対象に、予備調査・本調査をインターネット経由で行ったもので、有効回答数はプライベートブランドを知っていて購入した経験がある人1000人。男女比は1対1、年齢階層比は20代から10代区切りで50代まで均等割当。
プライベートブランド(PB)とは小売店業者やそのグループ、さらには複数の業者による販売組織体がメーカーと共同で開発し、小売店自身のブランド名をつけて発売する商品(今回は食品しか名前が出てこないが、特に食品だけには限らない)。基本的にその小売店業者の関連店舗でしか購入できない。それに対してナショナルブランド(NB)はメーカー自身が開発し、どこでも手に入る商品。
PBは主に割安感を、NBは高級感、信頼感、安心感が前面に押し出される。最近では景気後退による可処分所得の減少(要は「財布のヒモがキツくなった」)や、資源高騰などによる食品価格の値上げを受けて、割安感が光るPBに注目が集まるようになった。
今調査ではPBの認知・購入経験について尋ねているが、「知っていて買ったこともある人」は全体の86.2%に達している。購入したかどうかは分からないけれど、知っている人も合わせれば実に9割を超えている。それでは実際にここ1年の間、PB商品の購入頻度は増えたのだろうか。購入経験者に聞いたところ、実に96.7%もの人が「増えた」と答えている。
1年前と比べたPB商品の購入頻度
「減った」はわずかに3.5%。購入をしている人のほとんどがこの1年間で購入頻度が増加していることになる。それでは具体的にどのような商品が特に購入されたのか。過去1年間におけるPB商品の購入比率を見ると、「牛乳」がもっとも多く1割強の人が「PB中心」と答えている。「PBの方が多い」まで含めると実に4割強に達する。
過去1年間におけるPB商品の購入比率
「牛乳」に次いでPB商品購入率が高いのは「食パン」。小麦粉の高騰で価格が軒並み上昇した食品の代表格でもある。以下、「レトルトカレー」「ハム・ソーセージ」「ドレッシング」など、食卓ではおなじみの、皆が食べる食品が続く。一方で「缶チューハイ」や「スナック菓子」など、し好性の高いものはさほど高くないことも分かる。
なお今回は掲載を略したが、「PB購入頻度がかなり増えた」のは男女共30代がもっとも多い。一人暮らしをしていたり、簡単に食事を済ませたい頻度が高い30代の人たちにとって、PBが展開する食品群はよく購入するということなのだろうか。ちなみにこの年齢層は【30代男性は3割が朝食抜き】にもあるように、朝食をもっとも抜く割合の高い層でもある。「朝食もしばしば抜くほど忙しい」「食事を簡単に済ませたい」「PBの食品群は欠かせない」という図式が成り立つのかもしれない。
PBニーズがさほど高くないのは
消費者が「ブランド」を
求めているため!?
「牛乳」「食パン」「レトルトカレー」のPB割合が高いのも、遠因の一つとしては「忙しい食生活でもすぐに口に出来る」という点があるに違いない。一方で「缶チューハイ」「スナック菓子」などのPBがそれほど高くないのは、これらが一般的な商品群として好まれるよりもむしろ、個々の商品のブランドや種類で選ばれる場合(こだわりがある場合)が多いからだと思われる。PBブランドのチョコよりも●×製菓のチョコ、PBブランドのポテトチップスより■○屋のポテチ、といった具合だ。
景気が回復し、財布のヒモがゆるくなるまでは、PBは今まで以上に多くの人に愛用され、買われることだろう。一方でNBメーカーとしては「PBでもNBでもどちらでもいいや」という浮動票的な人の注目を留められるよう、PBに無い点をアピールすると共に、こだわりをもって自社ブランドを選んでくれる「ファン」を増やす必要が求められよう。
スポンサードリンク
ツイート