そそられる 本のコピーは 「役に立つ!」「超話題作!」そして「感動!」
2009年02月03日 08:00
インターワイヤードが運営するネットリサーチのDIMSDRIVEは2009年2月2日、読書に関するアンケート調査の結果を発表した。それによると、本を紹介するキャッチコピーについて、「惹(ひ)かれるもの」を選択肢の中から選んでもらったところ、もっとも同意する意見が多かったのは「役立つ!」で約2割の人が同意を示していた。続いて「超話題作!」「感動!」などが続く。また、男女別では大勢はほぼ同じであるものの、いくつかの点において異なる傾向も見られることが分かった(【発表リリース】)。
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今調査は2008年10月29日から11月13日までの間、インターネット経由で行われたもので、有効回答数は9566人。男女比は50.2対49.8、年齢階層比は40代2996人、30代2992人、50代1542人など。
本の内容そのものや作家、出版社、シリーズに負けずとも劣らず、本そのものや帯のコピーは少なからずその本の購入動機を刺激する。実際、今調査結果でも何らかの形で参考にする人は約7割に達している。
帯のキャッチコピーや紹介文を参考にするか否か
それでは具体的に、どのようなキャッチコピーに魅力を感じるだろうか。調査側が選択肢を用意し、それに複数回答で答えてもらったところ、もっとも多かったのは「役立つ!」で、5人に1人以上が同意を示していた。
本を紹介するキャッチコピーでひかれるものは?(「!」が多いな、それにしても)
続いて「超話題作!」「感動!」「考えさせられる」が続く。「とくにはない」というドライな回答がもっとも多く4割近くを占めるのは笑えるところがあるが(逆説的には「あおり的なキャッチコピーをつけても意味が無い人が4割近くに達する」ということでもある)、大まかに次のような傾向があるように思える。
・実用性を示すもの。
・感性に訴えかけるもの(感情的な表現)。
・他人がポジティブに考えていることを表明し、「遅れを取るな!」と暗示的に表記しているもの。スタンピード現象の誘発(【スタンピード現象を再確認してみる】)。
中には「こんなわけないだろう」と帯に向けて思わず突っ込みたくなるような帯のコピーを見受けることもあるが、これも販売戦略の一環なのだろう。もちろんうそをついてはいけないが。例えば「役立つ! 超話題作! 感動! 一文一文が考えさせられるこの傑作、思わず泣けます。ドラマ化・映画化も決定し、ますます売れてます! あの○○氏もオススメでなんと○○万人もはまっています」というコピーをつければ、ミリオンセラー確実だろうか(温泉を舞台にした事件のテレビドラマのあおりコピーのようだ)。
それはともかく。このキャッチコピーも男女間では微妙な受け取り方の違いがあるのが分かる。
本を紹介するキャッチコピーでひかれるものは?(男女別)
全般的に男性よりも女性の方がキャッチコピーにひかれる割合が高いことが一目で確認できる。また、個別の項目を見ると、男性では比較的低い部類に入る「売れてます! 」「ドラマ化・映画化決定! 」「○○万人がハマった!」など、他人の動向を気にさせるような「あおり」に強く反応しているのが分かる。口コミには男性よりも女性の方が強く反応する傾向にあるのは他のさまざまなデータからも明らかにされている(一例:【「夫よりまずお友だち」女性の口コミパワー最強論】)。それだけアンテナが敏感になっている証拠といえよう。
今件は本のキャッチコピーに関する話だが、これは書籍に限らない内容ともいえる。対象物を紹介する解説文に適切なコピーを加えることで、商品の集客力や魅力が倍増することは、「土用の丑の日にうなぎを食べて夏バテを防ごう」というコピーを(正確には「丑の日に『う』の文字がつくものを食べると夏バテしない」という民間伝承を利用し、うなぎ屋に「本日丑の日」というコピーを提案した)平賀源内が興したことでも有名。巧みな宣伝広報手段として、そして消費者の「気づき」を喚起する意味で、キャッチコピーは今後も使われていくに違いない。
また、性別によってコピーへの反応が異なる点は、対象となる書籍の想定読者によってコピーの性質を変える必要があることを意味する。男性向けの本なら男性が気にかかるような、女性なら女性が注目を集めるような傾向の強い性質のコピーを用いる必要があるだろう。
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