主要国のGDPをグラフ化してみる
2009年02月04日 08:00
先に【年齢階層別の金融資産保有割合をグラフ化してみる】を記事にしたあと、各方面からご意見・ご感想をいただいた。中には意味ありげにデータを指し示し、これを見てくれという内容のものもあった。それぞれに興味深く、考えてみる価値のあるものばかりだったが、当方の事情(主に能力的問題)もあり、すべてを精査・記事化することは難しい。今回はその中でも、主要国のGDPの移り変わりのデータをグラフ化してみることにした。
スポンサードリンク
提示されたデータは国際貿易投資研究所が2008年9月30日に発表したもの。【公開ページはこちらになる】。データではGDPの上位60位の国について、1985年以降一定期間毎の推移を示してある。
用語や注意事項について箇条書きでまとめておくことにする。
GDP……国内総生産:Gross Domestic Product。国内で生み出された付加価値総額。自国の外に住む自国民は対象に含まれない。
単位……兆米ドル。単純比較をするために米ドルですべて統一されているが、実際には各国の対米ドル為替レートも考慮する必要がある。
順位……2006年における順位を基準にしている。今回は上位10位のみをグラフ化した。
年数……2005年までは5年単位、それ以降は1年単位で計測されているので、グラフの見た目の変化率には注意を要する。
以上の条件を基にグラフ化したのが次の図。
主要国GDP推移(上位10位、米ドルベース)(単位:兆米ドル)
色々言われてはいるが、アメリカが非常に大きな成長を示していること、他国が束になってもかないそうにないことがあらためて実感できる。ただし現状からかいまみるに、これもいわゆる金融危機の引き金となった金融工学・レバレッジなどのたまものによるとすると、色々と複雑な気分にもなる(2008年のGDPがどのように推移するのか、気になるところだ)。
アメリカの値が大きすぎて他国の状況がつかみづらいので、アメリカを除いてグラフを再構築してみることにする。
主要国GDP推移(上位10位、米ドルベース)(単位:兆米ドル)(アメリカを除く)
2000年前後の景気後退期に各国とも一時期低迷しているが、それ以外は順調に成長しているように見える。特に中国(濃い水色)の2000年以降、ドイツの平均的な伸びが注目に値する。
一方。
問題は日本。1985年から1995年にかけて大きな伸びを示しているが、1995年にピークを迎え、後は少しずつではあるが減少する傾向を見せている。それでもなおアメリカ以外の国とは大きな開きを見せているが、各国の伸びに伴いその差を縮めつつある。この傾向がこのまま続けば、あと10年くらいでドイツや中国に追い抜かされそうな勢いだ(2005年以降は1年単位のグラフであることに注意)。
日本の国力を指し示す指標の一つであるGDPが漸減していることは、ちらほらとニュースで耳にしていた。しかしこのように、視覚化すると現状の厳しさがあらためて確認できる。
GDPが減少している理由は(恐らく)さまざまで、特定の一つの理由に限定されることはない。今回提示された意図であろう、「若年層の減少・高齢者の増加に伴う労働人口の低下」もその一つ。
だからといってそれがすべてというわけではない。産業構造の変化をはじめ、さまざまな理由が考えられる。また、昨今は円高に推移している為替レートが円安だったことも大きな要因ではある。試しに【内閣府のデータベース】から「円ベース」でのGDPの推移を示したのが次のグラフ。
円ベースにおける日本のGDP推移(単位:兆円)
急激に進んだ円高で、2008年以降の米ドルベースのGDPがどのように推移するのか、興味深くはある。
ともあれ、昨年物議をかもした大田弘子経済財政担当相(当時)による「もはや日本は『経済は一流』と呼ばれる状況ではなくなった」(一人当たりの名目GDPがOECD30か国中19位だったことを指して)があらためて実感できよう。
スポンサードリンク
ツイート