1日から10分に時間短縮・シメックスが簡易鳥インフルエンザ検出キット開発

2009年02月12日 06:30

医学イメージ【シスメックス(6869)】は2009年2月9日、大阪府立公衆衛生研究所と共同で、鳥インフルエンザウイルスを簡易に素早く検出できる技術(検査キット)を開発したと発表した。これまでの方法だと約半日から一日の時間を要していたものを、前処理した検体を特殊な試験紙にたらすことで「約10分で」検出できる。様々なタイプの鳥インフルエンザウイルスへの検出も可能で、(人から人へ感染しうる)新型インフルエンザへの検出にもつながる技術として注目を集めている(【発表リリース】)。

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ウイルス内にある、たんぱく質の構造の違いを検出して鳥インフルエンザの有無をチェックする
ウイルス内にある、たんぱく質の構造の違いを検出して鳥インフルエンザの有無をチェックする

従来のインフルエンザウイルス迅速診断キットでは、鳥インフルエンザウイルスと、人間が感染するヒトインフルエンザウイルスを区別することができなかった。しかし今回の共同研究によって、両者の核たんぱく質の構造にわずかな違いがあることを突き止め、これを目印に鳥インフルエンザウイルスのみを簡単に、しかも素早く検出できる技術を確立した。このたんぱく質は変異に影響されにくい特徴を持つため、ウイルスの表面構造が変異しても検出方法として使えると考えられている。

すでにこの方法ではちまたでよく耳にする、新型インフルエンザウイルスに変異する可能性が高いとされる「H5亜型」だけでなく、「H7亜型」「H9亜型」など、多くの鳥インフルエンザを検出できるとのこと。今回開発された技術を元にした検査製品は、研究機関などを対象に限定販売し、有用性が十分確認できた後に、臨床用製品として発売する予定。

感覚的にはリトマス溶液をしみ込ませてある、酸性・アルカリ性をすぐに確認できるリトマス試験紙のようなものだろうか。一般に流通するのはまだ先の話になるとのことだが、養鶏業者などにはありがたいアイテムとなりうるし、リリースでも触れているように(元々新型インフルエンザは、鳥インフルエンザの変異体として発現することが想定されているだけに)新型インフルエンザへの備え、正確には発現後の対策アイテムとして用いることも可能となりうる。

今回の技術は元々、通常のインフルエンザウイルスの診断キットに使われている技術を用いて開発した、とのこと。まさに発想の転換の勝利といえよう。「備え」の手立てはいくらあっても多すぎることは無い。今回の技術がその「備え」の有益な手段の一つとなるよう、祈りたいものだ。

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