中国の環境問題、周囲で見られる「大気汚染」「水質汚濁」に強い関心

2009年01月10日 12:00

環境問題イメージ日本リサーチセンターは1月5日、中国社会科学院・新聞コミュニケーション研究所・調査センターとの共同調査結果を発表した。それによると、環境問題への関心度は日本より中国の方が高い傾向にあることが明らかにされた。また具体的な項目としては日本が「地球温暖化」にもっとも高い関心が集まったのに対し、中国では「大気汚染」「水質汚濁」など身近な問題に関心が高いことが判明した。中国では身の回りで進行しているのが手に取るように分かるため、切迫感も強いのだろうか(【発表ページ】)。

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今調査は日中別々の調査機関・方式でほぼ同時期に行われたもの。日本は17~79歳の男女に対して面接などの直調査で2008年11月5日~17日の間に行われ1200人の有効回答から分析。中国は主要15都市において18~59歳の男女に対しインターネット経由で2008年11月13日~19日にかけて行われ有効回答数は1266人分。男女比、年齢階層比などは非公開。中国のインターネット普及率は2008年6月時点で19.1%(【中国IT白書より、PDF】)であることから、中国の回答者は中国の国民の中でも比較的富裕層・知識層に属しているものと想定しデータを見る必要がある。

日中両国で環境問題に関心があるか否かを尋ねたところ、日本では約8割、中国では9割強の人が「関心がある」と回答した。

環境問題への関心度
環境問題への関心度

「関心がある」派の割合は10ポイントくらいでしかないが、「非常に関心がある」に焦点を絞ると、実に2倍以上の差異が生じていることが分かる。このデータからは「環境問題について中国では非常に大きな関心が寄せられている」ことが理解できる。

それでは具体的に、どのような分野の環境問題に関心が高いのか。こちらも日中で大きな違いが見られた。

特に関心のある環境問題(三つまで)
特に関心のある環境問題(三つまで)

このようにして見ると、日本では「地球温暖化」「異常気象」「リサイクル」など地球全体、概要的な観点における環境問題への関心が高い一方で、中国では「大気汚染」「水質汚濁」など身近な場面で実体験できる汚染・環境問題に強い関心が寄せられていることが分かる。

これはそれぞれの国の行政機関の推進方針も一つの理由だが、何より個々が「その問題を強く感じる機会があるか否か」を表している。つまり現実において、中国ではこれらの問題に一般庶民が「強く」悩まされているというわけだ。仮にこの調査が1970年代前後の高度成長期(≒公害問題が大きく取り上げられた時代)に日本で行われれば、恐らく中国の結果同様に「大気汚染」「水質汚濁」などに高い数字が寄せられたに違いない。

地球環境問題イメージ環境汚染問題の多くは、特定地域に限らず周辺地域、そして国を超え、場合によっては地球全体にも悪影響を及ぼしていく。だからこそ地球規模の「地球温暖化」「異常気象」「リサイクル」などの観点から対策を考えねばならない場合が多いのだが、中国では「まず足元の問題」と考える向きが大きいようだ。しかし「大気汚染」にしても「水質汚濁」にしても、その地域だけでなく国全体、そしてさらに周辺国家にまで悪影響を及ぼしていることは否定できない。「小さなことからコツコツと」ではないが、まずはこの2点に対してだけでも十分な対策を練ると共に、啓蒙をうながしてほしいものである。

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