「夜中でもコンビニあれば熱さまし」購入したいニーズは大きい

2009年01月07日 12:00

お薬イメージマイボイスコムは2008年12月22日までに、医薬品の購入に関する調査結果を発表した。それによると、6月以降の改正薬事法施行による規制緩和後に、コンビニエンスストアにおいては解熱鎮痛剤のニーズが他の医薬品から飛びぬけて高いことが明らかになった。その他の薬も購入意欲が高く、既存のスーパーや薬局・薬店よりも高い値を示している(【発表ページ】)。

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今調査はインターネット経由で12月1日から5日の間に行われ、有効回答数は1万4984人。男女比は46対54で、年齢階層比は30代が36%、40代が29%、50歳以上が18%など。

【セブンイレブンと調剤薬局のアインファーマーシーズが資本業務提携・コンビニ内での大衆薬販売を模索】で解説しているように、今年の6月から施行される改正薬事法によって、一定の条件を満たすことでコンビニエンスストアでも大衆薬が購入できるようになる。一方でインターネット経由での医薬品販売の取締りが強化されることで色々と問題提起がなされているが、これはまた別の問題であるので今回は触れていない。

処方箋による医薬品ではなく、大衆薬などの市販医薬品を購入する場合、どこで買うかという問いには86.4%もの人が「ドラッグストア」と答えている。これは先の別調査機関による調査【かぜ薬 買うのはやはり ドラッグストア】でも同様の結果が出ており、裏づけをとった形となる。ちなみに薬局・薬店は10.1%、通信販売は1.4%。

さて、これらの店で購入する市販医薬品はどのようなものが多いのだろうか。これは「複数回答」「単一回答(もっとも購入するもの)」双方で「風邪薬」「解熱鎮痛剤」「胃腸薬」の順となった。

複数回答による「ふだん購入している市販医薬品」
複数回答による「ふだん購入している市販医薬品」
店で買われる大衆薬
・風邪薬
・解熱鎮痛剤
・胃腸薬

「もっとも購入する」では「ビタミン剤含有保健薬」(サプリメントの類)がかなり上位に来ているが、大勢に変化はない。これらの症状なら市販薬で十分対応できるだろうという判断が多くの人にあり、実際それで対応できてしまうことから大いに買われていると推定される。自宅の薬箱をのぞいて見れば、この三種類は必ず用意してあるはずだ。

これらのニーズを元に、6月以降の規制緩和によって「コンビニで大衆薬が買えるようになった」場合、どこで購入したいのかを尋ねたのが次のグラフ。薬全体と、上記のトップ3について尋ねた、非常に興味深い結果である。

規制緩和後に購入したい場所(薬全体と、よく購入される大衆薬)
規制緩和後に購入したい場所(薬全体と、よく購入される大衆薬)

ドラッグストアの優位性には揺るぎが無い。しかし10ポイント強ほどの差をつけられているものの、コンビニでのニーズが極めて高いのが確認できる。同じく新規参入業種のスーパーマーケットにも5ポイント前後の差をつけており、4割近い「購入予備軍の支持」を集めている。

中でも「コンビニで解熱鎮痛剤が欲しい」という人の割合が高いのが目立つ。これは特に発熱が突発性のもので夜中にも発生しうること、その時の対応として解熱剤が夜半に必要な場合、24時間営業しているコンビニが強い味方となりうることを意味している。救急車を呼ぶほどではないが薬が必要という緊急性のある事態に、コンビニの特性が役立つわけだ。

コンビニの「24時間営業」が
大衆薬販売でも活きてくる

一方、スーパーマーケットでは胃腸薬の割合が高い。これは何を意味しているのだろうか。「食事のための食材を買うついでに、『万一お腹を壊したら』という連想から胃腸薬に手を伸ばす」ということだろうか(笑)。実際にはそこまで深い考えでなくとも、「食材→食べすぎ、飲みすぎ→胃腸薬」という連想は十分にありうる。特に元々胃腸が弱い人にとっては、日常茶飯事的に必要となる胃腸薬が食材と一緒に調達できることのメリットは大きい。

これらのデータから見ると、規制緩和後においては(各店舗の品揃えにもよるが)スーパー・コンビニにおいて多くの大衆薬へのニーズが充足されるものと想定される。ドラッグストアの優位性そのものに変化はないが、シェア的には大きく削られるに違いは無く、中長期的には苦戦を強いられるだろう。特に「24時間対応」はコンビニだけの特性であり、ドラッグストアも頭を痛めるに違いない(この痛みは頭痛薬では解消できない)。

他方、一般の薬局・薬店はますます苦境に追いやられることになる(処方箋対応の薬局は除く)。コンビニ、スーパー、ドラッグストアとの格差がほとんど無くなるからだ。数少ない長所としては、「個別への決め細やかなフォロー」くらいしかない。むしろ今後、小規模の薬局や薬店は、新規参入組のコンビニ・スーパーや、大勢力のドラッグストアが持ち得ない長所を最大限に活かした営業戦略が求められることだろう。


■関連記事:
【24時間営業コンビニのニーズはどこに!?】

(最終更新:2013/07/31)

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