今調査はインターネット経由で12月1日から5日の間に行われ、有効回答数は1万5163人。男女比は46対54で、年齢階層比は30代が36％、40代が29％、50歳以上が18％など。今調査ではカーナビ付の自動車を保有している人が47.0％を占めたため、概算としては7127人程度が今件に回答したことになる。

現在位置を示すだけでなく、目的地を入力することでそこまでの最適なルートを示して誘導してくれる、一昔前までは夢のような装置だった「カーナビ」。今やルート把握が業務上死活問題となるタクシーをはじめ、多くの自動車に実装されている。精度も普及した当初は表示上の道路から外れるだけでなく、建物の中にめり込むこともしばしばあったものの、最近ではそのようなヘマをやらかすこともなく、さらには立体表示や音声ガイダンスまでしてくれるなど、機能も拡充の一途をたどっている。

普及度が上がってくるとありがちなのが、各メーカー毎の競争の激化。他社との差別化を図ろうと、次から次へと新機能を搭載し、その様相はまるでゲームの「○×システム搭載」や家電の「ファジー」「ニューロ」「マイコン」機能競争のようですらある。しかし利用者にとっては要らないどころか邪魔な機能も多いのが現実。

カーナビ利用者にとって、「これは不要だ」と思う機能を複数回答で尋ねたところ、トップについたのは「Eメール(電子メール)の送受信」で4割近くの人が同意を示していた。

カーナビに不要な機能は?(複数回答)

冒頭でも触れたように、現在では携帯電話が大いに普及していることから、電子メールのほとんどは携帯電話でやり取りできる。【利用目的と利用場所から見えてくるミニノートパソコンの人気の秘密】で紹介したミニノートパソコンも急速に普及しつつある。第一、カーナビを利用するような(運転中の)状況でメールの読み取りなど危険極まりない。「カーナビの電子メール読み取り機能は、停止している時に使うのでは」という意見もあるが、その場合には携帯電話やミニノートなどを使えばよいだけの話であり、わざわざカーナビを利用するまでもない。無いよりはあった方がいいだろう、との配慮によるものだが、現場で使う人にとっては「搭載されていても使わないよね」に過ぎないことが分かる(まるでインターネット機能付の電子レンジや冷蔵庫のようなものだ)。

第二位には28.7％で「自宅家電の遠隔操作」。カーナビ上から自宅の電気や炊飯器、ビデオなどを操作する機能をイメージすると、未来的な状況が頭に思い浮かぶ。しかし実際に「わざわざ外から遠隔操作をする必要があるのか」という疑問がわいてくる。自宅に帰る途中でエアコンの電源を入れておく、炊き立てのご飯を楽しめるようにする、などいくつかの利用方法が考えられるが、対応する家電で無ければコントロールできないし、タイマーがあれば大抵の事は出来てしまう。

第三位は「ニュースや天気予報の自動読み上げ」。一見便利かな、と思えるが、よく考えてみればラジオが代用してくれるし、急ぎで確認する状況に遭遇するような人でも字幕のサービスで十分。以下、「ハンズフリー通話」「DVD鑑賞」「ボイスコントロール」「ドライブプランの作成」など、「あれば便利かな」と思えるものの実際には滅多に使わないであろう機能が並ぶ。ごてごてと新機能ばかりを搭載するのも販売戦略の一環だが、必要な機能のみをシンプルに搭載し、その機能の充実と使いやすさを追求することも、一つの方法・ニーズかもしれない。

一方で「不要な機能は無い」と答えた人も35.2％いた。トップの「Eメールの送受信」に並ぶ値である。「無い」と答えた人のカーナビがどのような機能を装備しているかまでは不明だが、少なくともこれだけの人は自前のカーナビの性能に満足し、それなりに使いこなしていることになる。あるいは「使ってはいないが、不要というほどのものではない」と考えているのかもしれない。

『某テレビドラマ』のように、「執事のように振る舞い物事を考える人工知能を搭載した自動車」によるカーナビゲーションシステムが登場するのはまだまだ先の話になりそうだが、今後も技術の進歩と共に多種多様な機能が搭載され、取捨選択された上でカーナビのシステムは洗練されていくのだろう。

(最終更新:2013/09/05)