戦後の交通事故・負傷者・死亡者をグラフ化してみる

2009年01月05日 06:30

自動車点検イメージ先に【交通事故による死亡者、前年比-10.3%の5155人に】で、2008年における交通事故による死亡者が2007年から10%強ほど減少して5155人となったことをお伝えした。先の記事ではサイトの寸借上、一部しかデータを掲載できなかったが、ここでは戦後から2008年にいたるまでのデータを元にグラフ化し、その推移を改めて確認してみることにする。

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用いたデータは【平成19年中の交通死亡事故の特徴及び道路交通法違反取締り状況について(PDF)】。これに先日マスコミ向けに先行発表されたという、2008年の交通事故死者(事故発生から24時間以内に死亡)5155人、交通事故発生件数75万5510件、負傷者数94万4071人を埋め込んでグラフ化したものが次の図。

1946年~2008年の交通事故発生件数・負傷者数・死者数(人)
1946年~2008年の交通事故発生件数・負傷者数・死者数(人)

さらに、数字的にピークとなっている、「第一次交通戦争」とも呼ばれた1970年の値をそれぞれ100とした時の、交通事故発生件数・負傷者数・死者数の推移(指標推移)をグラフ化したのがこちら。最大値を示した時からどれだけ増加・減少しているのはこちらの方が分かりやすい。

ピーク時の1970年データを100とした場合における交通事故発生件数・負傷者数・死者数
ピーク時の1970年データを100とした場合における交通事故発生件数・負傷者数・死者数

それぞれのグラフを見ると、いくつかの特徴が確認できる。

・「第一次交通戦争」まで交通事故の発生件数・負傷者数・死者数はほぼ比例する形で上昇している。
・1970年代に起きた「石油危機」(オイルショック)で自動車の運行頻度・台数は大幅に減少し(&省エネ化の促進)、それに伴い事故発生件数・負傷者数・死者数も減少している。
(注:車両台数は減少・横ばいの傾向には無い)
・その後再び各値は上昇し、いわゆる「第二次交通戦争」と呼ばれる1988年には再び事故死者数が1万人を突破する。
・その後、これまでの「発生件数・負傷者数・死者数間の正比例」の関係が崩れる現象が起きる(緑の丸、あるいは緑の矢印で示した部分)。
・2004年以降は事故発生件数、負傷者数そのものも減少傾向を見せている(車両台数も漸増からやや横ばいに落ち着きを見せる)。


特に注目すべきなのは、1990年後半以降、「第二次交通戦争」以降に起きた、「事故発生件数・負傷者数」と「死亡者数」のかい離(かけ離れること)。これまで三者がほぼ正比例の関係にあったのに対し、1990年後半を境に「事故発生件数や負傷者数が増えても、死者数は減少する」傾向を見せている。先の記事で指摘・表で見せたように、死者数のカウント方法を変更したり小細工をした(事故発生から24時間で統計上の事故死からは外れる)わけではなく、30日以内、1年以内の死亡者数も同様に減少していることを見ても、「事故における死亡者数そのものが減っている」ことが再確認できる。

交通事故による死亡者が減っているのは、これも先の記事で指摘したように「医学の進歩」「自動車車両の(安全性向上面における)技術進歩」「交通ルールの規制強化」によるところが大きい。例えばシートベルトなら「1993年以降シートベルト着用者率は年々向上している」「シートベルトの非着用者の致死率は、着用者の9倍以上」などが裏づけとなる。

統計データを見る限り、自動車事故に対して行政・自動車メーカーが行っている努力は実を結びつつある感が強い。もちろん「年間交通事故死亡者ゼロ」が最終目標だが、これは果たせぬ・永遠の夢に近いお話。それでも関係者たちはその値を目指し、ダメージの軽減や交通ルール遵守対策、さらには事故そのものを回避するような仕組みを追い求めていくのだろう。

(最終更新:2013/07/31)

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