「年金なんて信頼できない」新成人は8割を超える
2009年01月08日 08:00
マクロミルは1月7日、2009年に成人式を迎える人たちに「新成人に関する調査」を行った結果を発表した。それによると、国民年金制度に対する新成人の信頼度は2割足らずであることが明らかになった。8割以上の新成人が「年金制度は信頼できない」と回答している。年金制度を支えるはずの若年層の不信感がありありと表れているといえよう(【発表リリース】)。
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今調査は2008年12月17日から18日の間、2009年に成人式の参加対象となる人を調査母体としてインターネット経由で行われたもの。有効回答数は516、男女比は1対1。
日本の年金制度は簡単に説明すると「”現時点の”若年層が老齢層を支える仕組み」。年金保険料は貯金のように「自分の積み立て」がそのまま蓄積されて将来切り崩せるのではなく、「将来若年層に支えてもらうための権利料を支払っている」だけに過ぎない。そして現状では年金制度そのものの見積もりの甘さから、「今年金を受領している人は金額的にはもらい得、払っている人は払い損」「今払っている人が受領する時には、支払い開始年齢や金額がさらに減る可能性もある」などから、特に若年層の不信感を集めている。
このような状況の年金制度について新成人に信頼できるかどうか尋ねたところ(半ば愚問のような気もするが)、「信頼できる」と回答したのは2割足らずに過ぎなかった。
年金制度を信頼するか
心底「信頼できる」はわずか1.4%、「どちらかといえば」がついてようやく信頼できる人が18%。逆に強く「信頼できない」人だけでも3割近くに達している。
今件では具体的コメントは得られていないが、「信頼できない」が「信頼できる」の20倍以上もいることから、相当な不信感があることが容易に想像できる。
似たようなアンケートは過去に別の民間調査機関が行っているが(【「公的年金に期待しない」若年層は7割を超える】)、やはり若年層における不信感はかなり根強いものがある。制度そのものの(自分たちに対する)不公平感はもちろん、【「情報不足」85.2%・「もっと真面目にやれ」84.4%~年金問題での社会保険庁への評価】などでも挙げられているように、年金を取り仕切る社会保険庁の取り組みのずさんさ、そしてグロス単位の犯罪的行為が発覚しているにも関わらずほとんどペナルティが与えられていない件などが伝えられるにいたり、不信感が無いはずもない。
年金制度を支えるのは若年層に他ならない。その支える人たちの不信感が蓄積されたままでは、制度の存続は難しい。どのような手立てを打てば若年層からの信用・信頼を得て、安心して頼られることができるのか。年金制度を管轄する担当部局・公的機関は「今、容易に得票(など)に結びつく年金支給層」だけの方を向かず、真剣に若年層の方に向けて考える必要があるだろう。
(最終更新:2013/07/31)
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