投資指数は前月比では最低の値に…野村證券(8604)、2008年12月計測分の個人投資家動向を発表

2009年01月07日 08:00

【野村證券(8604)】の金融経済研究所は1月6日、個人投資家の投資動向に関するアンケート調査とその結果の分析報告レポートを発表した(【ノムラ個人投資家サーベイ・2008年12月計測分、PDF】)。株価低迷と不安定感・不安感の中で「ノムラ個人市場観指数」が史上最低値を記録するなど、先行きを案じる個人投資家が多いことがうかがえる。

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今調査は1000件を対象に12月19日から22日に行われたもので、男女比は70.3対29.7。年齢層は40歳代がもっとも多く30.5%、ついで50歳代が25.4%、30歳代が23.4%など。金融資産額は1000万円~3000万円がもっとも多く25.2%、500万円~1000万円が22.6%、200万円~500万円が19.7%と続いている。1銘柄あたりの保有期間は2年から5年未満がもっとも多く31.2%を占めている。次いで5年以上が20.2%、1年から2年未満が19.7%。投資に対し重要視する点は、安定した利益成長がもっとも多く47.2%と約半分を占めている。ついで配当や株主優待が28.9%となっており、テクニカルや値動き、高い利益成長といった項目より安定感を求めているのはこれまでと変わりなし。

詳細はレポートを直にみてほしいが、概要的には

・投資指数は前月比では2006年4月の指数スタート以来最低の値に。
・株式取引への意欲低下中。
・「市場への影響が考えられる要因」ではすべての項目でマイナス項目比率が増加。特に「国内景気・企業業績」に対する悲観的見方が大きい。
・魅力的な業種は「医療、へルスケア」。「建設、不動産」を超える形で2か月連続して「自動車、自動車部品」がもっとも注目度の低い業種に。約半数の回答者は「自動車、自動車部品」を「魅力とは思えない業種」に。
・今年の日本株式のテーマ。プラス・マイナスそれぞれにおいて「国内景気」「為替動向」が20%を超える回答。


という形に。12月は株価そのものはやや安定(低位置で、だが)しつつあるものの、国内外を問わず景気の先行き不安感は高まるばかりで、投資に対するモチベーションも一向に上がらない。株価底上げの要因でもあった外資も足元に火がつきそれどころではない様子。「今後大きく上げるだろう」という楽観主義的な考えを持つには、あまりにも材料が無さ過ぎるのが実情。そのような雰囲気が、指数をして史上最低値に押し下げたのだと思われる。

気になる「保有したい、注目していきたい銘柄」だが、上位5銘柄の多くは変わりがない。ただし[任天堂(7974)]が為替差損への心配からか、大きく順位を下げているのか気になる。また[トヨタ自動車(7203)]に【東京電力(9501)】が肉薄しており、このまま「自動車産業はツラい」というイメージが浸透すれば、来月あたりに順位の入れ替えが起きる可能性も否定できない。

1位……[トヨタ自動車(7203)]
2位……【東京電力(9501)】
3位……[武田薬品工業(4502)]
4位……【ソニー(6758)】
5位……[三菱商事(8058)]


上位を占める銘柄はそれだけ注目を集めていることに他ならない。つまりそれだけ今後も活発に売買が行われる可能性が高い。トップの[トヨタ自動車(7203)]はもはや鉄板順位で間違いないはない……といいたいところだが、直上でコメントしたように、東京電力との差はわずか3票にまで縮まっている。また、武田薬品工業もかなりの得票があり、「トヨタ独走状態」時代は終えんを迎えつつあるようだ。

先が見えぬほど混迷を続けている金融危機(金融工学危機)は、実体経済の足をひっぱり奈落の底に叩き落しつつある。現状では「アメリカの新大統領就任」への期待から市場は安定しているものの、その期待がはげ落ちれば再び不安定な相場展開になりうることは否定できない。さまざまな情報が錯綜し、噂で市場が大きく動き、本来規律を正すべきところがその役目を果たさないどころかかく乱させているような、まさに五里霧中な時代ともいえる。一人一人が自分で情報を取得し、分析する「情報リテラシー」能力を身につけ、正しい判断が出来るよう、日頃から訓練をしておくに越したことはないだろう。

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