金(きん)への投資をする4つの方法
2009年01月27日 06:30
元々鉱物資源としての金(きん、Gold)は希少価値のあるものとして重宝されてきたが、ここ数年は特に大きく注目を集めている。資源価格の高騰の過程で値を上げ、それらが投機資金の商品先物市場からの撤収で値を下げた後も、比較的高い価格で推移しているからだ。また、アメリカをはじめとした諸外国において、金融(工学)危機のツケを国債の増刷(≒自国通貨の増刷)でまかなおうとする傾向が強まる中、インフレ懸念が高まり、「金」の価値が相対的に上昇するのではないかという考えも出ている(「国の借金は経済発展でまかなうからインフレ懸念はない。だから「金」はむしろ値下がりする」という意見も多い)。このような情勢の中、【The Wall Street Journal】では「金」についてどのような投資スタイルがあるのかをまとめたコラムを掲載した。色々と興味深い話なので、簡単にかいつまんで紹介することにしよう。
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1.Bullion(金塊)
いわゆる「金の延べ棒」や「金製のコイン」を意味する。「金」そのものを所有するにはもっともお金がかからない方法。クルーガーランド金貨やメイプルリーフ金貨、イーグル金貨など、プレミア込みの金貨も良く知られている。
利点:万一国家財政が破たんかそれに近い状態に陥った場合、価値のある資産を手元に持っているのは心強い。
弱点:盗難の危険性。貸し金庫に預けると災害時には保障されないし、自由なやり取りが出来ない。
2.Pooled Accounts(権利の保有)
銀行口座と同じようなもので、自分の専用口座に「金」を買い増ししたり、確認をしたり、あるいは延べ棒や金貨の形で「引き出す」ことができる。日本でも三菱マテリアルや田中貴金属など、多くの企業がこのサービスを手がけている。
利点:手数料はかかるが所有がほぼ安全に確保される。実物を引き出すことも出来る。
弱点:手数料がかかる。その企業が破たんした場合、自分が預けている「金」も債権者への支払いの対象になる(※日本の場合は各企業毎に対応が異なるので、それぞれの企業に問い合わせてほしい)。
3.Exchange-Traded Funds(上場投資信託)
「金」に裏づけされた、あるいは単に金価格に連動した上場投資信託(ETF)も数多く存在する。日本の場合は【SPDRゴールド・シェア(1326)】と【金価格連動型上場投資信託(1328)】がそれに該当する。
長所:「金」の現物保存手数料などを必要とせず、安い証券手数料だけで保有できる。盗難にあったり、災害で失う心配も無い。しかも瞬時に購入が出来る。
短所:税金の問題。
(※日本の場合は分配金は配当金と同等、売却益は株式などの譲渡所得扱いになる。また、「SPDRゴールド・シェア(1326)」「金価格連動型上場投資信託(1328)」共に事実上現引きは出来ず、「金に裏づけされた投資信託」ではなく「金価格に連動する投資信託」なので注意が必要)
4.Mining Stocks(金採掘会社の株式、金鉱株)
金価格の上下に伴い、「金」を採掘する会社の株価も上下する。金価格の高騰はその会社の利益の拡大を意味するからだ(石油採掘会社と同じような理屈と考えればよい)。
長所:株価の反応が大きいため、「金」の現物やETFへの投資以上の利益を得る可能性がある。
短所:長所の逆。さらに地政学的リスクも関わってくる。
(※日本では直接関係するのは【住友金属鉱山(5713)】)くらい。むしろ海外の金採掘会社の株式を検討するか、周辺企業(「金」の製錬、加工関連の企業)などが注目される)
日本は元々「黄金の国・ジパング」とかのマルコポーロが呼んだこともあるように、金の産出量の多さを誇っていた。しかし現在では南アフリカやアメリカ、オーストラリアにその座を譲り、わずかに住友金属鉱山の菱刈鉱山が採掘を行っている程度である(【年間産出量は7.5トン】)。
【金もプラチナも取扱量大幅増加~田中貴金属、2008年の投資用金地金とプラチナ地金取扱量総感を発表 】などにもあるように去年は色々な思惑から、金の取引高は非常に大きなものとなった。今年もまた、似たような傾向を示すことだろう。
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