衣料品や住関品が従来以上に苦戦…2008年12月度のチェーンストアの売上高、前年同月比-2.8%
2009年01月23日 06:30
【日本チェーンストア協会】は1月22日、チェーンストア(スーパーやデパートなど)の2008年12月度における販売統計速報を発表した。それによると12月は消費者の節約志向が強まる傾向にあり、さらに土日が少なかったこと、気温が比較的高めに推移したことなどで衣料品や住関品が従来以上に苦戦、総販売額は前年同月比で二か月ぶりに下回る結果となった。かろうじて食料品部門は前年同月比でプラスの値を見せている(【発表リリース】)。
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今調査結果は協会加入の71社・8827店舗に対して行われている。店舗数は先月比で36店舗増、前年同月比で21店舗増。売り場面積は前年同月比99.4%と0.6%ほど減っている。企業数はやや増加の傾向を見せているが、売り場面積はほぼ横ばい。踊り場状態なのだろう。
ここ数か月間店舗数・売り場面積・従業員数・売り場面積あたりの売上額すべてにおいて前年同月比マイナスの値を示していたが、今月発表分の11月分データで歯止めがかかり、12月分もその状況を維持している。決算期に向けて統廃合の動きは一時的に停滞しているのかもしれないが、全体的な流れは止まらず、今後も時期を待たず大きな動きが見えてくるだろう。
分野別では前年同月比でそれぞれ次のような値が出ている。ちなみに数字はすべて店舗調整後(1年前のと比較するため、昨年存在しなかった店舗の分を除いた値)によるもの。
■総販売額……1兆3010億7263万円
・食料品部門……構成比:61.2%(前年同月比100.8%、△0.8%)
・衣料品部門……構成比:11.1%(前年同月比86.8%、▲13.2%)
・住関品部門……構成比:21.3%(前年同月比94.7%、▲5.3%)
・サービス部門…構成比:0.4%(前年同月比99.4%、▲0.6%)
・その他…………構成比:6.1%(前年同月比92.0%、▲8.0%)
総じて軟調。
日取りのせいもあるが
年末のかきいれどきの
不調はダメージが大きい。
12月は11月以上に景気後退感が肌身に感じられて消費者の生活防衛への気合が高まる状況だっただけでなく、土曜・日曜が少なかったこと、そして気温が高めに推移して冬物へのニーズが頭打ちとなるなど、食料品以外は総じて軟調。特に衣料品の不調さは目に余るものがある。
具体的品目としては食料品は野菜が鍋需要や価格の上昇、さらには引き続きダイエットブームでバナナが堅調。肉類も鍋効果からかプラスが多いが値段が高めの牛肉は不調。12月では11月とほぼ同じく「その他食品」(雑貨や菓子類、惣菜類)において冷凍食品、そして牛乳以外大いに売れているのが目立つ。
衣料品は冬物はセーターやジーンズが好調な以外はおおよそ不調。特に「その他衣料・洋品」は婦人服関連を筆頭にすべて不調という結果が出ている。住関品も季節関連商品以外はほぼ不調。医療品や健康食品、化粧品の一部など、不況にも比較的強いと言われていた分野も不調なのが気になる。一方で【自転車の販売動向をグラフ化してみる】でも挙げたように、自転車の売上は伸びている。
先々月のレポートで「消費者は各種類店舗毎に購入アイテムを見極め、安いものをつまみ食いならぬ「つまみ買い」する傾向が強まっている」「特売をしても他の商品への集客販売促進にはつながらない」ことについて言及した。今月のデータでは周囲環境が悪化することにより、ますますその傾向が強まっている結果が出ている。食料品だけが堅調で、その他分野がその動きにまったく連動しない状態が一目瞭然なのだ。全体に占める食料品の売上が6割強を占めているので全体の下げは-2.8%にとどまっているが、住関品や衣料品の比率がもっと高かったらと思うと、震えが止まらない。
衣料品の不調さの原因としてインターネットの要素以外に先日【デパート不調のもう一つの理由・アウトレットモールの魅力を探る】でアウトレットモールの存在を挙げた。スーパーやデパートの主要商品の一分野、衣料品のお客が少しずつ他の業態に「食われている」ことは間違いない。
このような状況はスーパーやデパートだけでなく百貨店でも起きている。消費者の消費性向や、モノの売買を取り巻く環境が変化している昨今、商品を揃え、販売する側もそれに応じた変化を求められている。特に住関品・衣料品部門における大きなマイナス値は、「何かをしなければいけない」というお客側からの声を代弁しているのだろう。
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