【更新】2008年12月度の外食産業の売上は前年同月比でプラス0.3%・低価格ファストフードが業界全体を底支え
2009年01月27日 06:30
日本フードサービス協会は1月26日、協会会員会社を対象とした外食産業の市場動向調査における2008年12月度の調査結果を発表した。それによると総合売り上げは前年同月比でプラス0.3%となり、わずかではあるが先月に続いて三か月連続してのプラスとなった。昨年と比べて土日祝日回数が1日ずつ少ないことを考慮すると、前月同様売上高の堅調さは続いていることが分かる、と協会側では分析している([発表リリース])。
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今調査はファストフードやファミレス、パブレストランや居酒屋、ディナーレストラン、喫茶店などを対象に行われたもので、対象数は事業者数が179、店舗数は28888店舗(既存店はそれぞれ176、24948)。既存店数が増加し、全店数が減少しているということは、新展開店舗が減少していることを意味する。
全業態すべてを合わせた12月度売り上げ状況は、前年同月比で100.3%と前年同月を0.3%上回り、先月から続いてプラスを見せることになった。しかも冒頭でもコメントしたように、休みの日が昨年と比べて少なかったにも関わらずプラスを維持できたことで、実質的には売上は堅調であるという考えに間違いは無いだろう。
業態別では相変わらずファストフードが堅調。低価格帯で商品を展開する店舗の堅調さが目立つ。今月もやはりめん類が10%以上の売り上げ増を見せている。ただし先月も指摘したように、めん類においては売り上げ増率ほどではないものの店舗数そのものも増加の一途をたどっており(12月は店舗数増加は+5.9%、客数は+11.9%、売上+12.1%)、飽和点に達してしまうのではないかという不安がある。あるいは他分野(ファミレスなど)がファストフード、特にめん類店舗に移行しているのだろうか。
一方ファミリーレストラン部門の伸び率は全体では先月同様「いまひとつ」。中華が一番健闘している図式はこれまでと同じだが、12月は売上だけでなく客数も減少している。ファミレスでは土日祝日の減少が大きく響くからかもしれない。
今月も天候に関する言及はなく、「経済危機」についてのコメントが寄せられている。消費の冷え込みが激しさを増す中、特に低単価のファストフードが健闘していることを力説しているのが目に留まる。
全店データ(既存店、新店合わせて)
今月も「新築されためん類のお店が非常によく頑張っていることが分かる」という傾向は継続中。既存店のみの売上が-2.6%にも関わらず全体で+12.1%の数字を出しているということは、それだけ新規店舗が売上を引き伸ばしていることに他ならない。
3日少ない土日祝日。
それでも全体は
かろうじてプラスに。
ファミレスは
休みが少ない影響を
大きく受けて軟調。
小麦や原油の高騰は世界的な傾向として表れてい「た」。商品先物市場もひとときの暴騰市場開始前の状況まで戻し、さらに原油などはそれ以下の下落ぶりを見せている(一年前に現在のガソリン価格が想像できただろうか)。材料調達費と外食店を訪れるお客の「足」となる自動車のガス代の点では、しばらく頭を抱える必要はほぼなくなったと見てよい。
ただし景気そのものが急速に後退し消費性向が減退しているため、「外食」そのものをぜいたくな生活様式ととらえ、出来るだけ自炊、あるいは外食でも安価な商品を選ぶという傾向が強まりを見せている。【「借金してでも浪費」から「生活防衛」へ~リセッション入りするアメリカで変わる消費者行動】でもあるように、景気後退で先行するアメリカはもちろん、日本でもその道を歩みつつある。
ラーメンやハンバーガーなどの低価格帯の外食に人気が集まるのも、時代の流れといえる。この傾向はしばらく続き、関連分野の企業は他の分野と比べれば「比較的」安心して事業を継続できるものと思われる。
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