10代女性の7割は「ケータイ小説読んだことあるヨ」~若年層、特に女性に強い携帯小説・コミックたち

2009年01月22日 08:00

モバイルイメージメディア環境研究所は2008年7月8日、毎年2月に実施している「メディア定点調査」の最新版「メディア定点調査・08」の抜粋編を発表した。それによると携帯電話を使った小説やコミックの提供という新しい媒体スタイル「携帯小説(ケータイ小説)」「携帯コミック」が若年層、特に10代~20代の間に広く浸透している状況が明らかになった。具体的には15~19歳の女性で携帯小説の利用経験が7割を超えるなど、「若年層の文章離れ」という言葉の存在が疑われてしまうような結果が出ている(【発表ページ】)。

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今調査は郵送調査方式で行われ、2008年2月4日に発送、2月22日投函を締め切りとしたもの。東京・大阪・高知の三地区を対象にRDD方式で選ばれた15~69歳の男女に対し調査票が計2186通送付され、1877通が回収された。デジタル手段ではなく、郵送方式で調査が行われたこと、調査実施期日が去年の2月であり、約1年が経過していることに注意する必要がある(デジタル手段を用いることによる、調査結果における「デジタル側への片寄り」は想定しにくいなど)。

現在では画面もワイド化・細密化することで表現力が大きく向上した携帯電話。単純なテキスト(文字列)による文章だけでなく、挿絵や効果的描写を用いて「演出」された小説や、さらには限られた画面の面積を逆手に利用し独自の演出を用いたコミックなど、「携帯電話ならでは」の表現方法が日々模索改良されながらも確立しつつある。そしてパケット定額制の普及で、通信料(量)をさほど気にしなくてもよくなった環境が整備されつつあることが、携帯小説・コミックの普及を後押ししているともいえる。

このような状況の中、携帯小説やコミックを利用した経験があるかどうかについて性別・年齢階層別に尋ねたところ、「男性よりも女性」「壮齢・高齢層よりも若年層」という傾向が如実に現れる結果が出た。

携帯小説&コミックの年齢・性別利用経験率
携帯小説&コミックの年齢・性別利用経験率

2007年においては小説とコミックを分派させていなかったので「あわせて」という形ではあるが、1年経過したことによる変化もある程度推し量ることができる。特徴などを箇条書きにまとめると次のようになる。

・男性より女性、壮齢層より若年層の方が利用率が高い。
・ほぼすべての階層で2007年より2008年の方が利用率が向上している。ただし40代以降の女性は逆に減少してしまっている。
・10~20代女性の普及率は高め。特に10代の普及率(中でも携帯小説)は特筆すべきもの。
・男性は年齢階層別の格差がさほど大きくない。一方で女性はきわめて年齢差異が大きい。20代と30代の間に一種の「断絶」に近い下落が起きている。


単純計算になるが、携帯電話を持っている(≒一般消費者全員)10代女性の過半数が携帯コミックの、7割以上のが携帯小説の購読経験を持つことになる。日常茶飯事的に読む・愛読している人の数はここからさらに数が差し引かれるわけだが、それでも大きな値であることに違いはない。


【ケータイ小説、読む時間は1日45分】【今年のベストセラー発表・「品格」「ホームレス」「ケータイ」など、時代を映し出すタイトルが上位を占める】にもあるように、若年層(とりわけ女性)には携帯小説・コミック、特に携帯小説は「携帯電話による意思疎通の延長」と「小説・物語」を融合した立ち位置にあるらしく、それこそ携帯電話でメールによる友達との「おしゃべり」の内容を読むような感覚で読み進める傾向がある。

携帯電話の「勝手サイト」ではもっとも成功した事例の【モバゲータウン】にしても、2008年4月の時点で「携帯小説コーナーの閲覧数が1日平均で1億回を突破する」など、活性化に大きく貢献している。これらのデータなどが実証しているように、10代・20代にとって携帯小説・コミックは書籍同様、あるいはそれ以上に大切な「購読書」であることが分かる。

さらに【ケータイ小説、出版化されれば7割が購入】でも調査結果が出ているが、携帯小説やコミックは携帯電話上にとどまらず、紙媒体上の出版にも活力を与える可能性を秘めている。今後若年層(特に女性)を対象とした、「携帯上の小説やコミックコンテンツ展開」はそのニーズに応えるべくますます活性化していくだろう。そして現在10代・20代の女性が年を重ねるにつれ、(その割合は減るにせよ)確実に「ケータイで小説」スタイルは上の年齢層にも浸透していくに違いない。

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