【更新】交通事故による死亡者、前年比-10.3%の5155人に
2009年01月04日 12:00
警察庁は1月2日までに、2008年における全国の交通事故死者(事故発生から24時間以内に死亡)の数が5155人となり、昨年の5744人から10%強ほど減少した5155人であることを発表したことが明らかになった。死亡者の減少は2001年以来8年連続してのもので、過去最悪だった「第一次交通戦争」と呼ばれた1970年の1万6765人から約3分の1に減少している([参考:読売Online])。
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現時点で警察庁公式サイトでは2008年11月までのデータしか公開されていないが、今回マスコミに先行報道された「2008年は総計で5155人」を元にデータを逆算し、[11月分までのデータ(PDF)]に穴埋めをしてグラフを作成してみることにする。
まずはデータが公開されている1993年以降の年間交通事故死亡者数推移。なお冒頭にもあるように、今データにおける「死亡者」は、事象発生から24時間以内に死亡した人数を指す。統計ではその他に30日以内の場合の「30日以内死者数」、さらには厚生労働省のデータとして「1年以内死者」も存在する(後述)。
年間交通事故死亡者推移
これを元に、年間死亡者数の前年比(減少率)を算出したのが次の図。数字のプラスが大きいほど、死亡者数が減少している割合も大きいことを意味する。
交通事故死亡者の前年比"減少"率
前世紀末、2000年ごろまでは多少のぶり返しもあったが今世紀に入ってから、特に2005年以降は一貫して減少率が上乗せされ、死亡者数が加速度的に減少している様子が実感できる。
先の定義の表記にあったように、この数字はあくまでも「事故発生から24時間以内」のもの。中には「どうにか延命させて数字減らしをしているのでは」と考える人もいるだろう。しかし実際にはその考えは正しくない。警察庁が発表している[平成19年中の交通死亡事故の特徴及び道路交通法違反取締り状況について(PDF)]によれば、24時間に限定せず、「30日以内」、さらには厚生労働省統計の「1年以内」の数も、この15年前後来減少している様子が確認できる。
交通事故発生件数・死者数・負傷者数の推移(昭和55年以降のみ抜粋)
サイトの横幅の事情から1980年(昭和55年)以降のものだけを抜粋したが、1970年(昭和45年)前後に急激に増えた事故とそれに絡む数字は減少し、その後グラフの範囲内でじわじわと上昇。しかし平成元年あたりから
・車両台数、事故発生件数、負傷者数は上昇
・死者数(24時間以内、30日以内、1年以内)は減少
・負傷者数と発生件数も過去10年間は横ばい、直近数年間は減少の傾向
の様相を見せている。特にこの10年間において、事故の発生件数と負傷者数が横ばいにも関わらず、各種死者が急速に減少しているのは注目に値する。
これら一連の減少傾向について警察庁のレポートや元記事などによればその原因として
・医学、生存技術の進歩による事故死の減少(事故数と負傷者数が比例していることも裏づけ)
・燃料費高騰による自動車の利用頻度の減少(直近1、2年間。同様の傾向はオイルショック時にも見られている)
・自動車技術の進歩(エアーバック、ABS、車体構造、シートベルト)
・シートベルト着用、飲酒運転などに関する交通ルールの規制強化
などの複合効果によるものとしている。一つ一つはたあいもないものだが、これらの備えが積み重なることで、確実に交通事故による悲劇を減らしていることが、データにも現れつつあるといえよう。
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