「ブログはやるけど掲示板やSNSはちょっと、ね……」高齢者のインターネット利用、若年層と比べ利用範囲は限定的
2008年12月19日 06:30
gooリサーチとNTTデータ経営研究所は12月16日、「高齢者におけるパソコン・ネットの利用動向に関する調査」の結果を発表した。それによると多種多様な使い方ができるインターネットの利用用途において、若年層と比べて60歳以上の高齢者は「利用用途がある程度限定される傾向にある」ことが明らかになった。多種多様な使い方が用意されていても、手に余るもの、必要とされていないものなどの事情から、利用頻度が若年層より低い用途も多いようだ(【発表ページ】)。
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今調査は9月12日から16日の間、インターネット経由によるウェブアンケート形式で行われたもので、有効回答数は1064人。男女比は67.5対32.5。年齢階層比は60歳以上が56.1%、30代が17.4%、40代が12.5%など。ネット経由での聴取のため、世間全体と比べるとややインターネットに有利な結果が出ていることを考慮する必要がある。
今レポートでは高齢者を中心に、パソコンの普及や利用状態について多彩な視点からの調査結果が掲載されている。今回スポットライトをあてるのは「インターネットの利用用途について」。インターネットをどのような用途で利用しているか、いくつかのカテゴリーに大別し、そのカテゴリ別に代表的な使い方を提示。それをしているかどうかについて尋ねた結果が次の図。若年層と高齢者との違いがいくつか見えてくる。
インターネットの利用用途
図表にも重ねたが、この結果から見えてくる(高齢者に着目した)傾向を箇条書きにすると次のようになる。
・情報収集欲はおう盛で、若年層に負けないほどの利用率を誇る。ただし転職・就職情報はすでに必要がない人が多いためか、利用率は低い。
・オークションにはやや気後れするところがあるが、オンラインでの買い物にも意欲的。むしろ足腰などのことを考えると、積極的に利用している可能性も。
・老後の資金運用などを考えているからか、オンライン証券などの取引はむしろ若年層より積極的に行っている。
・コミュニティ方面ではブログなどの運用が精一杯で掲示板やSNSなどまで手を回せない(興味がない)。
・コンテンツ系では分かりやすい「ソフトのダウンロード」「クイズの応募」などには興味があるが、音楽や動画にはあまり関心がない。
いくつか補足をすると、まず「オンライン証券等取引」だが、この項目が唯一「高齢者>若年層」という結果が出ている。年金や退職金などである程度まとまった資金を手に入れて、オンライン証券などの取引で資産運用をしている人が多いがための結果だろう。銀行・郵便局における預貯金の低金利という状況が、高齢者に積極的な資産運用をうながしている一因といえる。
続いて「コンテンツ系」。上記解説では「関心がない」としたが、可能性の一つとして「関心のあるコンテンツがない」状況が考えられる。実際、携帯音楽プレイヤーなどで拝聴できる「落語」は地味ではあるが幅広い世代に受け入れられているという話も聞く。高齢者向けのコンテンツを広範囲に用意すれば、この部分の数字はかさ上げされることだろう。
という要望はある。
それをサポートする掲示板・SNSが
求められているのかも。
最後にコミュニティ系。現状ではブログ運用などで精一杯のような受け止めができる結果が出ているが、良く見ると(なぜか資産管理系に分類されている)「電子メール」の利用率がほぼ100%に達している。一方で、今回は取り上げなかった「”パソコンの”利用用途」においては、高齢者の「地域活動」への回答値が高い数字を表している。
「パソコンを使って地域に貢献したい、地域で何かやってみたい」というニーズが高齢者にあることを考えると、電子メールなどをうまく橋渡しに使った、地域の活動に役立つSNSや掲示板などを提供すれば、現在はきわめて低いこれらの利用率が高まる可能性はある。逆に考えれば、これらのサービスは現状においては、高齢者らのニーズに応えていないと見ることもできよう。
パソコンやインターネットなどの先進系技術のサービスは、どちらかというと作り手の視点で構築されるため、どうしても若年~中堅層向けのものが多くなる傾向がある。しかしこれから高齢者もパソコンに触れる機会が多くなるだけに、彼ら・彼女ら向けのサービス・コンテンツへのニーズも増えてくることは間違いない。
すでにいくつかのポータル系サイトでは、定年退職後の「セカンドライフ」を提案する専用サイトが登場している。今後は彼ら・彼女らの立場から考え出されたサービスもさらに続々展開されることだろう。
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