最新の非正規労働者の失職状況をグラフ化してみる

2008年12月28日 12:00

雇用イメージ厚生労働省は12月26日、非正規労働者の雇用止めなどの状況についての報告書を発表した。それによると今年10月から来年3月までに実施済みあるいは実施予定とされる非正規労働者の各種雇用調整(期間満了、中途解除、解雇など)数は12月19日に把握できたもので8万5000人ほどに達していることが明らかになった。このうち年内に実施済み・実施予定のものは5万2684人とのこと(【発表リリース、PDF】) 。

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これは厚生労働省発の「非正規労働者の雇止め等の状況について」によるもので、各種事情により派遣・請負・契約・その他の非正規労働者が失職した・失職予定の数は8万5012人(件数で1415件)。これは11月28日に発表された11月25日時点の3万0067人・477件と比べ(【発表リリース、PDF】)、2.8倍の人数・3.0倍の件数に達しており、状況が急速に悪化していることが確認できる。

就業形態別に見ると「派遣」がもっとも多く全体の7割近くを占め、次いで期間工などの契約が2割近くに達している。

2008年10月から2009年3月までに実施される、非正規労働者の期間満了や解雇による雇用調整
2008年10月から2009年3月までに実施される、非正規労働者の期間満了や解雇による雇用調整

「雇い止め等」という表現が行われているのは就業形態によってスタイルが異なるから。派遣の場合は期間満了と中途解除(両方とも派遣業社に待機状態へ戻る)、契約の場合は期間満了(更新無し)と解雇、請負の場合は期間満了と中途解除、その他業態の場合は期間満了と解雇(、以上それぞれの就業形態毎に「不明」含む)が存在する。期間満了の中には雇われ側が望んで終了させた場合も考えられる(元々その期間内での就業を希望していた場合など)が、今データでは微細なものとして無視しても構わないと思われる。また、特に「期間満了」の場合、自動的に契約更新がなされるものと思っていたところ、期間満了と共に「更新無し」を通達されたものが大部分だろう。

2008年10月から2009年3月までに実施される、非正規労働者の期間満了や解雇による雇用調整(形式別)
2008年10月から2009年3月までに実施される、非正規労働者の期間満了や解雇による雇用調整(形式別)

百歩譲って「期間満了」がある程度就業側も認識していたとしても、それ以外の「中途解除」「解雇」は突然のものとして認識されねばならない。

これを都道府県別に見ると、トヨタ自動車の本拠地がある愛知県がケタ違いに多く1万0509人、次いで長野県の4193人、福島県の3856人などとなっている。

都道府県別雇い止め数上位10位
都道府県別雇い止め数上位10位

データのグラフ化掲載は略するが、件数と人数から「1件あたりの雇い止め数」を算出した場合、人数そのものではトップの愛知県が198.3人/件で同じく最上位についているのは別として、岐阜県の165.8人/件や大分県の119.6人/件などが上位につき、人数では2番目の長野県は30.8人/件・3番目の福島県は41.0人/件と少ないことが確認されている。これは地方ほど「沢山の件数で少数ずつが雇い止めを受けている」状況を示す一端とも受け止められよう。

非正規労働者の
再就職割合は
1割強程度

なおこれら非正規労働者で雇い止めを受けた人のうち、「確認が取れた人」で再就職先が見つかっているのは10%弱。派遣の場合は「新しい派遣口が見つかった」ということになるが、それでも12.7%に過ぎない。つまり「派遣先で契約解除・任期満了し待機状態となったあと、再派遣を希望してアプローチを待っている人のうち、再派遣先が見つかった人は10人に1人強に過ぎない」という計算になる。

非正規労働者の再就職状況(確認されたもののみ、人)
非正規労働者の再就職状況(確認されたもののみ、人)

同レポートでは「正社員」の離職予定者も掲載されているが、こちらは3295人。同じく昨月のデータでは2028人となっており、1.62倍に急増している。特に製造業、卸売・小売業でその数を増やしていることから、今後はこの2業態を中心に、非正規雇用・正規雇用を問わず雇用調整が行われる可能性が高い。

今データには雇用保険加入者数や住居状況についても公開されているが、「把握できた人」の統計で両項目においては「把握できない人」の方が重要であることを考えると、あまり意味を成さないものとして今回はグラフ化・考察を見送った。ただし公開されている値としてはそれぞれ加入率99.0%・住居喪失割合6.1%(2157人)であり、分かっている範囲でもそれなりの値を示していることが確認される。

詳しい状況は個々の事例に対して考察する必要があるが、少なくとも景気後退により企業の事業状況が悪化していること、そのため雇用調整が急速に進んでいることは改めて確認できよう。

※追記:時系列のグラフ化のリクエストがありましたが、探した限りでは今回の2データ分しか非正規労働者の失職状況の調査結果はありませんでした。

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