コーエーとテクモの統合にテクモ大株主のファンドが反対意見表明
2008年12月28日 12:00
【ロイター通信】などが12月26日に伝えるところによると、現在経営統合準備中の【コーエー(9654)】と【テクモ(9650)】の件について、テクモの大株主であるシンガポールの投資ファンド「エフィッシモキャピタルマネージメント」が反対意見を表明したことが明らかになった。企業価値向上の可能性について十分な説明がないこと、そのため経営統合に対して賛否の判断をする情報が不足しているため、としている。
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【コーエーとテクモ、合併正式発表・来年4月にコーエーテクモホールディングス誕生】にもあるように、テクモ・コーエー両社は2009年1月26日開催予定の臨時株主総会における承認を前提とし、2009年4月1日を期して株式の移転により、コーエーテクモホールディングス株式会社(共同持株会社)を設立する予定。ここまでのいきさつとしては「テクモ内の内紛」「スクウェア・エニックスからのホールディングス傘下(参加)の誘い」「テクモ、コーエーとの対等合併模索・発表」「スクエニからの誘いを断る」という形で進んでいる。コーエーとテクモの対等合併については事情説明がなされたものの、「スクエニグループへの参入」と天秤をかけて、どちらがテクモ(という会社)にとってプラスになりえるのか、今でも議論が尽きない。
エフィッシモは最新のデータによるとテクモの株式を17.59%保有。報道によれば同ファンドがテクモ社長に宛てた反対意見表明の書簡には、次の3点においてテクモの情報開示・説明が不足していると述べている。
・統合による株主価値の実現可能性(経営統合で本当に株主の価値が向上するのか)
・現在コーエーが行っている新興国株式への投資など資産運用の継続の有無(短中期的にさらに足を引っ張りかねない事象への判断)
・統合による経営陣の保身目的の有無(スクエニを蹴ってコーエーと組んだのはテクモ側経営陣の保身が目的なのでは?)
※()内は当方で説明追加
逆にこれらの疑問点・説明不足とされる点について十分かつ納得の行く説明がなされれば(経営統合で株主価値があがる具体的な内容、スクエニからの買い付け案よりコーエーとの合併の方が価値向上につながること、今回の経営統合が経営陣の保身目的「では無い」こと)、統合に賛成するとエフィッシモ側では伝えている。
今件についてテクモの経営管理部は「統合発表時(11月18日)の資料と同28日に、すべての株主に宛てた開示資料を通じ説明を行っている」と述べ、株主には情報を提供していると強調しているという。
さて、この「エフィッシモキャピタルマネージメント」という投資ファンドだが、公式ウェブサイトは見つからなかったものの調べた限りでは、例の「村上ファンド」の元ファンドマネージャー3人が2006年に設立したヘッジファンドとのこと。ダイワボウや学研などの「攻防戦」をはじめ、かつての村上氏と似たような方法で(よく言えば企業価値の向上を目指し、悪く言えば企業の重箱のスミをつつくような仕手戦的手法で)名を知られている。
今件に絡みテクモ株式の大量所有報告書を確認するとエフィッシモは11月17日に6.89%の株式を保有したと発表。同日に断続的に報告書を出して15.45%まで保有率を高め、さらにその後も買い増しを続けている。今件においても合併プロセスの過程で「テクモの脇が甘い」と判断されてしまったのかもしれない。
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