バイクの国内需要をグラフ化してみる
2008年12月20日 12:00
日本自動車工業会は12月18日、2009年における新車の販売台数の見通しを発表した。それによると2008年のバイク(二輪車)の需要は57.0万台・前年比78.9%にまで急落し、来年の2009年にはさらに下落傾向を見せて48.9万台・前年比87.4%を予想していることが明らかになった。この値は20年前の三分の一程度の数となる(【発表ページ】)。
スポンサードリンク
リリースによると昨今の需要減少の理由としては
・2006年から施行された駐車違反取締りに対する影響。
・大都市圏を中心に見られる駐車場不足。
・排出ガス規制対応による価格上昇。
・景気の悪化。
などが挙げられる。一方で、特に小排気量の原付第二種などは経済性などから見直しが行われ活性化の動きは見られるものの、総体としては厳しい状況に変わりは無い。
今回のリリースには1989年以降の各種データが公開されていることもあり、そのうち今回はバイク(二輪車)についてグラフ化してみることにする。
なお区分用語が分かりにくいので簡単に説明しておくと、排気量を区分要素としており、
・原付第一種……50cc以下、スクーターのたぐい
・原付第二種……50cc超~125cc以下
・軽二輪……125cc超~250cc以下
・小型二輪……250cc超
となる。
まずは全体の単純推移。
二輪車国内需要台数
二輪車においては先の自動車に見受けられた計測方法の変更もないので、データの連続性について問題は無い。2008年分は一部、2009年分は全部が工業会側の推測値となることは自動車のデータ同様。そしてその自動車以上に国内需要が中期的に落ち込んでいることが分かる。
リリースにはその理由が一切書かれていないが(短期的な理由は説明がある)、二輪車の主要購入層の若年層における趣味趣向の変化、そして可処分所得の減少(直接的な価格の他、駐車場などを用意しなければならないために生じる間接的な費用も考慮した上での話)が少なからず影響しているものと思われる。
続いてこれを主要車種別に分けたもの、さらに車種別の需要推移、そして2009年における自動車需要の各車種別割合を前年比でグラフ化したのが次の図。
二輪車需要台数推移(2008・2009年は推定)
二輪車国内需要前年比
2009年自動車需要予想(車種別比)
短期的、特に今世紀に入ってからは排ガス規制強化による単体価格の上昇、2006年以降は駐車取締りの強化、さらに慢性的な(利用者にとっての適正価格での)駐車場の不足などがたたり、特に都市圏を中心に需要減少が続いている。また中期的にはリリースにはないものの、上記で触れたように消費性向の変化や主な購入層である若年層のバイク離れ(流行り廃りの問題以外に所得減も原因に含む)により、自動車以上の加速度で需要が落ち込んでいる。
直近で見ると原付第二種が個人対象に伸びを見せたものの、来年は他種同様に前年比マイナスを予想している。また注目されるのは一番数の多い原付第一種(スクーター)などがここ数年下落傾向を見せており、この理由として他機種の要因に加え「自転車などへのシフト」があるとのこと。元々近場への足代わりとなる場合が多いスクーターだが、健康志向や倹約のあおりを受けてニーズが低下しているようだ。これも今流行(?)の「トレードダウン」(【この頃アメリカで流行っている「トレードダウン」という考え方】)なのかもしれない。
今データは国内需要に限ったもの。10年単位で見ても需要が減少しているのは明らかで、各メーカーはそれを国外展開で補ってきた感が強い。しかしここ数年の急激かつ世界的な景気悪化で、今後はさらに販売状況が悪化することが予想されよう。各メーカーは販売の適切な調整はもちろん、今まで以上に時代の要請にマッチした新商品を開発することが求められるに違いない。
■関連記事:
【自動車の国内需要をグラフ化してみる】
スポンサードリンク
ツイート