アマゾンの情報に見る「会社四季報」と「日経会社情報」の読者性向

2008年12月18日 08:00

売上分析パソコンイメージアマゾンジャパンは本家アマゾンドットコム同様に、利用者の購入・閲覧・検索情報を縦横無尽に使い分け、統計や分析を積み重ね、多種多彩な切り口で利用者に「オススメ」商品を提示してくる。過去におけるデータの積み重ねで算出されたデータだから(俗にいうベイズ理論の応用)、意外に多くの場面において「購買欲」をくすぐる結果を出してくるのが困りモノ(?)。その切り口の一つを見ているうちに、投資家の必需アイテム「会社四季報」と「日経会社情報」の読者性向をかいま見ることができたので、ここでまとめておくことにする。

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まずはおさらい。『会社四季報』は東洋経済、『日経会社情報』は日本経済新聞社が年4回発行する、上場会社の各種データを盛り込んだ「経済事典」。単なる企業の財務諸表だけでなく、多彩な面で投資家に役立つ情報を提供してくれる。両者はいわばライバル的な存在だ。ただ世間一般的には「会社四季報」の方が知名度が高く、関連商品も数多く展開されている。

一方、今回注目したのはアマゾンジャパンで各商品ページに掲載されている「関連商品」データの中でも「この商品を見た後に買っているのは?」の部分。

「この商品を見た後に買っているのは?」
「この商品を見た後に買っているのは?」

「会社四季報」と「日経会社情報」、双方ともそのページを見た後に多くの人がその冊子自身を購入している(閲覧しただけの人はのぞく)。しかしそれぞれのデータを良く見ると、両者の違いが見えてくる。

「会社四季報」「日経会社情報」それぞれのページを見た後に、どの冊子を買ったのか、その割合(四季報関係を囲んである)。
「会社四季報」「日経会社情報」それぞれのページを見た後に、どの冊子を買ったのか、その割合(四季報関係を囲んである)。

「会社四季報」「日経会社情報」それぞれのページを見た後にそれ自身を買う人は8割強。しかし「会社四季報」の方はワイド版やCD版などメディアが分散するものの、「四季報」のユーザーをつかんで離さない。ライバルの「日経会社情報」に流れるのはわずか3%でしかない。

しかし「日経会社情報」の方は、大判に4%分散するものの、「四季報」の通常版に8%、解説本的な存在の「四季報プロ500」に3%流れてしまい、合計で11%もの人を「四季報」グループに奪われてしまうことになる。

このようにデータを見ると、やはり「会社四季報」は提供メディアの多彩さデータの切り口・見せ方の多様性が、「四季報」全体で利用者の心をつかんでいることが分かる。

このようにアマゾンの関連データからでも、ぱっと見で内容的には一長一短に見える「会社四季報」「日経会社情報」も、細かな違いで「差をつけている」ようす、そして「会社四季報」が「日経会社情報」よりメジャーな理由の一端が分かってくる。それと同時に「アマゾン、あなどり難し」と再確認させられた一件ともいえよう。


(最終更新:2013/09/05)

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