「気をつけよう もう一口が肥満体」は遺伝子が原因!?

2008年12月15日 06:30

ダイエットイメージダイエットしたいから「もう一口」を気合で我慢する……と思っていても、どうしても食の魅惑に負け、気がつけば美味しい物を口にしていた。そんな経験をしている人も多いはず。そして自分の意思の弱さを再確認して自己嫌悪におちいる、というのがありがちなパターン。しかしこの「もう一口」、実は遺伝子によって組み込まれた「本能のようなもの」なのかもしれないのだ。そんな話がイギリスの【Mail Online】に掲載された。

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元記事ではこの説はイギリスのDundee大学でColin Palmer博士によって発表された研究結果であると説明している。それによるとイギリス人の三分の二には「ジャンクフード遺伝子(junk food genes)」なるもの、具体的には「FTO」が存在し、それが甘いものや脂肪たっぷりなものを「食べたい」と思わせるのだという。その遺伝子は平均してその持ち主に、1食あたり大体100キロカロリーを余計に食させる。一週間では2100キロカロリー(※注:成人日本人が一日に必要なカロリー)。

この「ジャンクフード遺伝子」の存在は、いかにダイエットに失敗する人が多いか、ファストフードの魅力に負けてしまう人が多いのかを説明するのに十分な理由となりうる。そして元記事では、この「ジャンクフード遺伝子・FTO」の探求こそが、現在イギリス人の四分の一(!)が該当する「肥満」を解決する、有効な手立てとなりうるかもしれないと期待を寄せている。

この研究では去年の段階ですでに「FTOは肥満と関係が深い」ことが説明されていた。今回検証された、具体的なデータとして提示されたのは、14%のイギリス人がこのFTOを二組所有しているということ。そして彼らのグループでは通常の人と比べて肥満体の割合は70%、糖尿病は50%の割合で高かったという。体重も平均で6.4キロほど重かった。FTO遺伝子一組の場合は肥満体30%・糖尿病25%の割合。FTOが多いほど肥満・糖尿病リスクが上がるという結果だ。

この「FTO」の存在が食欲を増大させ、新陳代謝をゆるやかなものにし、満腹感を得るまでに時間がかかったり(=余計に食べてしまう)、運動を嫌うなど、体重増加に貢献するような行為に関係しているかどうかの因果関係をはっきりさせることはできなかった。しかし少なくともFTOの存在は、カロリーの高い食を口にするような誘惑に駆り立てることを検証結果では裏付けている。

小学生100人を対象にした実験でも、このFTOを持つ人の場合は甘いものや脂肪性の高いものをよく口にし、平均で1食あたり100キロカロリーを余分に取る傾向が見られたという。Colin Palmer博士は「子どもの肥満が増加しているのは、主に安くて手に入りやすいジャンクフードが問題なのだろう(。それらが身近にあるから、FTOによる誘惑が安易に充足されてしまう)」と説明している。「1食あたり100キロカロリーは大したことがないように見えるが、肥満になるのには十分なカロリーだ」と博士は続ける。

ただしこのFTO遺伝子、絶対的なものではない。博士によればFTO遺伝子を持つ人の63%が「減量は可能だ」と述べている。アドバイスはただ一つ。「食べ過ぎなければ太らない(you will not become overweight if you do not overeat.)」。

なお元記事では、関連する別論文として「イギリス人がますます肥満体の傾向を強めている」という話も紹介されていた。この傾向が継続すれば、2012年にイギリスで開催されるオリンピックまでに、男性31%・女性32%が「肥満体判定」を受けることになるという。いわく「オリンピック開催までに肥満体の割合が(現在四人に一人から)三人に一人となるだろう」。

いわば100キロカロリーを余分に取ってしまう傾向があるのは「遺伝子の叫び」によるものだから仕方ないとする一方、意思をしっかりと持てばダイエットは可能だ、とする主張には、「簡単に言うけどさ……」というため息があちこちで聞こえて来そうな気がする。

FTOについては特にイギリスで研究が進められているようで、去年にもBBC Newsで似たような報道が行われている。具体的には【70%の肥満率、体重は3キロ増・肥満をもたらす新たな遺伝子FTOを特定】が該当するが、こちらでは「同一の食べ物を口にしているのに肥満傾向に違いが生じているのは、FTOによる栄養の吸収や分解効率の影響が関与しているのかも」という話にたどり着いている。今回の記事では「FTOは持ち主の食欲おう盛に拍車をかけている可能性がある」で、多少意を異なるものとしている。

ただし結論は同じ。「FTOの肥満への作用は否定できないが、肥満になるかどうかは本人の怠惰と食生活の問題」ということだ。


(最終更新:2013/08/01)

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