子どもに与える携帯電話、そのメリットとデメリット、そして保護者の思惑

2008年12月14日 12:00

子どもと携帯電話イメージモバイルリサーチを展開するネットエイジアは12月12日、小中学生と保護者の「ケータイ依存」に関する調査を(小中学生への携帯電話持ちこみを原則禁止とした)大阪府を対象に行い、その結果の一部を発表した。それによると、保護者から見て子どもが携帯電話を持つことのメリットは主に「子どもの防犯」に寄与するものである一方、デメリットとして考えているものの多くは携帯電話経由で巻き込まれるトラブルのように、やはり「子どもの防犯」を考えての心配であることが明らかになった。携帯電話が子どもにもたらすメリットとデメリットに、保護者も悩んでいるようである(【発表リリース】)。

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今調査は12月5日から7日の間、大阪府在住で公立の小中学校に通う子どもがいる22~59歳の携帯電話利用者に対して携帯電話経由で行ったもので、有効回答数は270人。男女比は45.6対54.4、年齢階層比は非公開。なお大阪府では【「小中学校へのケータイ持込原則禁止」保護者は7割が賛成】で触れているように、政令市である大阪市・堺市を除く公立の小中学校への携帯電話持ち込みが原則禁止されることが決まっている。

今調査の結果のうち、公開されたデータの一部、具体的には「子どもが携帯電話を持つことで『安心できる・便利な点』『不安になる・心配な点』」についてそれぞれ複数回答で尋ねたところ、次のような結果が出た。データは20%以上の回答を得られた上位のもののみ抽出した。

保護者が考える「子どもが携帯電話を持つことのメリット・デメリット」
保護者が考える「子どもが携帯電話を持つことのメリット・デメリット」

圧倒的多数の保護者が「いつでも連絡が取れる」という保安上のメリットを支持している一方、多くの要素で携帯電話保有によって生じる新たなデメリットを懸念していることが分かる。

これらの結果を元に、「プラス要素」を残しつつ「マイナス要素」を出来るだけクリアできるような携帯電話を考えると次のような仕様になる。

・通話機能装備(「いつでも連絡」)
・GPS機能装備(居場所確認)
・防犯ブザー装備
・インターネットのブラウジング機能はナシ(有害サイトやワンクリック詐欺、ゲームなどの利用はできない、料金高額化回避)
・低額のパケット定額制導入
・電子メール機能はあらかじめ登録した特定アドレスにのみ発信可能。ロック解除は保護者のみ(相手を保護者や親しい知人にのみ解放)


電子メール機能実装で、なおかつブラウザの無い携帯電話は聞いたことがない(あるいは当方の調査不足で実は存在しているのかもしれない)が、そのようなケータイでさらに電子メールの「送信先限定」フィルタ機能があれば(もちろんスパムメールに対するフィルタは実装)、保護者が懸念している要素はほとんどすべてクリアできることになる。

ただし。

このような「リミッテッド・ケータイ」は多くの子どもが非常に嫌がる。特に中学生にもなれば、機能制限の携帯電話(例えばプリペイド式)を持っていると周りから「つまはじき」にあうという話も良く耳にする。与える側の都合ばかりを考えていると、使う側の反発を招くだけとなってしまう。

現行の機能もフルに活用すれば
かなり満足のいく対処が可能。
キャリア側が多種多彩な具体例で
懇切丁寧にその方法を教える場を
多方面で展開すべき。

現行の仕組みでも、有料情報の利用制限やフィルタ機能など、複数の機能を用いればそれなりに保護者のニーズにかなう仕組みを施す事はできる。要は保護者側がどれだけそのような機能を知り、使いこなせるかという問題だ。この「使いこなし」は機種によって細かく事情が異なるので、端末販売側が細かいガイドラインを設けて解説すべき問題。

また、今回の調査対象項目には挙げられていないが、【健康被害リスク】、そして「学力低下」のところで懸念されている集中力の低下(どんなに徹底しても携帯電話に音声・メールでの受信があることに気がつくと、子どもは必ず集中力が低下してしまう)なども懸念される材料として見逃す事はできない。しかしこちらも実は、保護者の対応(指導、しつけ)次第でかなりの部分が対処可能。

責があるのは携帯電話ではない。
与える保護者と利用者本人が
自らの責任で利用し、対処すべき。

要は「携帯電話の所有で起きうるトラブル、心配事のほとんどは、その携帯電話を与える保護者側のさじ加減で何とでもクリアできる」ということだ。極端な例を挙げれば、就職祝いに自動車を子どもに買ってあげたところその自動車で事故を起こしてしまった場合、自動車自身に責任は(ほとんど)無い。責任は事故を起こした当事者(子ども)と、その子どもに自動車のリスクを教え足りなかった保護者自身にある。

携帯電話も結局のところ道具でしかない。その道具に責任を負わせるのではなく、与える保護者自身が責を持つことを自認し、対処すべきだろう。


(最終更新:2013/08/01)

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