今調査は11月1日から5日の間にインターネット経由で行われたもので、有効回答数は1万5504人。男女比は46対54。年齢階層比は30代36％、40代29％、50代以上18％など。

「アウトレットモール」とは1980年代にアメリカ、日本では1990年代後半から広まりだした商用エリアスタイルの一種。メーカー品や高級ブランド品のアウトレット品(ブランドの在庫品や廃番商品、サンプル品など定価では販売できなくなった商品)を安値で販売する店舗を一か所に集め、商店街を形成したもの。昔の「楽市楽座」に近いものだと思えば良い。単にアウトレット品を販売するだけでなく、飲食施設、さらには子ども向けの娯楽施設などを併設することで、一種の総合「お買い物」テーマパーク的な位置づけを確立しつつある。

そのアウトレットモールを利用したことがある人に対して、どのようなショップで商品を購入するかについて尋ねたところ、メインはやはり「カジュアルファッション」だった。実に6割以上の人が求めている。

アウトレットモールで主にどのようなショップで商品を購入するか

赤丸をつけたのはいわゆる衣料品。デパートが本来得意としなければならない分野だが、特にカジュアル、ファッションなど主要顧客の若年～中堅女性層向けの商品が丸ごとデパートと被っているのが分かる。その他にも生活用品、雑貨、家具・寝具など住関品もよく利用されており、「食料品」以外はほぼすべてデパートと項目を同一としている。「屋上の遊戯施設」? それもまた前述しているように「子ども向けの娯楽施設」を併設し、食事どころを設けることで対応済み。

実際にアウトレットモールの魅力を尋ねても、「安い」「種類が豊富」「非日常的な雰囲気をレジャー感覚で楽しめる」などが挙がる。まさに一昔前は「デパートが付加価値として提供していたサービス」そのものだ。

アウトレットモールについて良いと思う点

このように利用する立場の人から見れば、デパートが持っていたはずの魅力の大部分をアウトレットモールが持ち、その魅力に引き寄せられて足を運んでいることが再確認できる。

もちろんアウトレットモールにも弱点はある。あくまでも「アウトレット」なのでサイズが片寄っていたり好みのブランドがない場合もある。場所によってはショップの傾向が自分の好みに合わない場合もある。そして何よりも場所が限られているため(そして大抵は自動車で通うことが前提のため)、なかなか通えない・周辺道路が渋滞しやすいなどの不満が挙げられている。返品や交換が出来ないのも、人によっては難点と感じる場合もあるだろう。

先の記事と合わせ、デパートから顧客が移行した「商圏」の長所・魅力をリスト化すると

などの点が挙げられる。これらの点においてデパートと同等、あるいはそれ以上のメリットをアピールできたため、デパートの存在顧客が「目移り」したことは容易に想像がつく。【月次分析】の「チェーンストア(日本チェーンストア協会発表)」に目を通せば、上記「長所・魅力」に該当する部分は軟調さが続き、唯一「侵食されていない」食料品の項目のみが堅調さを維持しているのが分かるはずだ。

一方これらライバルの商圏にもそれぞれ弱点はある。(現状では)食品への対応が難しいことを筆頭に、インターネットでは「実商品を確認できない」「細かなサポートが難しい」、アウトレットモールでは「場所が限定されている」「商品の片寄りがある」などの点が代表的なもの。探せば他にも色々と出てくるに違いない。

デパート・スーパーなどが食料品以外の分野の売上低下を押し留め、売上そのものを回復させるためには、「インターネット」「アウトレットモール」という新たなライバルと真っ向から対決するのではなく、彼らの弱点を突く、あるいは長所をあえて取り込んだ戦略を展開するなどの工夫が求められることだろう。
(最終更新:2013/08/01)