苦しい生活、減らすものは「外食」。でも削りたくないものも
2008年12月06日 12:00
日本総合研究所などは12月4日、リスク金融商品を保有する消費者の消費動向に関する調査結果を発表した。それによると年末年始にかけて消費を拡大しようとしているもののトップには「家庭でとる食品(主食、副菜)」がついた。同時に「消費意欲が低いもの」の最上位には「外食」がついており、可処分所得の減少などを理由に「外食から内食へ」の動きが見えることがうかがえる。また「教育(子女を含む家族)」が食品に次いで、消費意欲で高い値を示しており、「景気が悪くなっても子どもの教育費は減らさない」という保護者の心意気を知ることが出来る(【発表リリース、PDF】)。
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今調査は10月29日から10月30日の間にインターネット経由で行われたもので、有効回答数は1010人。男女比は59.2対40.8。年齢階層比は35~44歳がもっとも多く36.4%、次いで45~54歳が23.7%、25~34歳が21.8%など。
今調査では投資成績に伴う消費性向の変化についてレポートしているが、同時にこの年末年始にかけての消費意欲についても質問をしている。景気の急速な悪化と可処分所得の減少、物価の上昇で財布のヒモは堅くなるばかりだが、そのような環境下で人々の消費性向はどのような変化を見せるのだろうか。
まずは消費意欲が高いもの(増やしたい人の割合から減らしたい人の割合を引いたもの)上位五位。「家庭でとる食品(主食、副菜)」がトップについた。
消費意欲が高いもの
一方、消費性向が低いものは「外食」が最上位。いずれにしても「食事」に関する項目がずば抜けて高い・多くの人の同意を得ているのが分かる。
消費意欲が高いもの
両方の結果から分かること、推測できることを箇条書きにすると次のようになる。
・生活切り詰めのため「外食」を極力ひかえ、自炊に励む一般家庭
・可処分所得の減少から、ぜいたく品や行動をセーブする方向に
・ふところ具合が寂しい中でも異性との付き合いや、「人間への投資」は欠かせない、むしろ増えている。「見た目」から「中身」の充実への志向移行か。
・特に子どもへの教育費は注力しているようすがうかがえる。
食事性向が外食から自炊へ変化していく様相の他に、「物品」への欲求から「人間」への「投資」に流れが移りつつあるようすが見えるのは興味深い。特に子どもをはじめとする家族への教育熱心さが把握できる。
この傾向は【子育て夫婦が物価高で削るもの、最初に外食、次に趣味・教育費は……】や【成長に 実感無くして 不安増え 焦りも増える 教育ママさん】でも触れているように、ここ数年来続いている現象で、景気が良いときにおいても教育への投資額は上昇傾向にあった。たとえ景気が悪化しても、額を削る対象としては「教育は最後尾にある」と考えて良いだろう。
注意すべきなのは、「教育への投資」が個人ベースでの話であり、社会全体ではないということ。たとえ子ども一人当たりの教育費が増加しても、少子化が進んでいる昨今においては、社会全体における教育費が激増するわけではない。教育関連の企業が押しなべて堅調、とも言い切れないのも、「少子化」という高いハードルがあるからなのだろう。
とはいえ、個別ベースでは金額が増加しているのも事実。弱点をカバーし、長所をうまくすくいとれるようなビジネスなら、この不況下においても飛躍が期待できるに違いない。
(最終更新:2013/08/01)
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