「アダルト」から「大衆芸能」に……広まる携帯検索
2008年12月03日 12:00
先日【同じ部分と違う部分と・「モバイル検索数ランキング」に見る、携帯検索サービスの使われ方】などでヤフー検索の携帯電話における利用状況のデータをチェックしたが、それに関連する話で興味深い事例が【CNET Japan】で紹介されていた。11月28日にネット広告代理店の一つ、オーバーチュアの関係者がモバイル系イベント「MCF Mobile Conference 2008」内で行った講演会における内容で、携帯電話の検索事情を知ることができる貴重な内容といえる。オーバーチュア自身にも「MCF Mobile Conference 2008」のサイトにも該当する資料が見当たらないので、この記事を参考にするしかないのだが、いくつか自分自身の覚え書きもかねて簡単にまとめてみることにする。
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●「アダルト」から「大衆芸能」に……検索キーワードの変移
まず目をひいたのが、2005年から2008年における、上位15位の検索キーワード。これが「どこの」検索上位を示すかは明記されていなかったが、先の記事のヤフーモバイルのとは傾向が違うのは確か(「借金」「自己 破産」などのキーワードは無かった)。2005年からデータが存在することを考えると、「ヤフーモバイル検索」以外のモバイル系検索の全体像と推測される。
ともあれ、写真から起こしたデータは次の通り。
2005~2008年のモバイル検索・検索キーワードの変遷
傾向は元記事にある通りだが、そこで指摘されているものもあわせて箇条書きにすると
・2005年~2006年にはアダルト系のキーワードが多数を占めたが2007年にはほぼ壊滅状態
・2006年はワールドカップがあった関係でサッカーのキーワードが多い
・2007年あたりから芸能人やアニメ名などの大衆芸能、大衆文化の名詞が増えてくる
・複数語による検索も増加中
・2008年は俗っぽい題材(「浮気 調査」)や景気悪化を反映した(「借金」「自己 破産」)キーワードが増加している
などが確認できる。携帯電話の検索機能がごく一部の人(欲求の強い人……得てして「性欲」「ギャンブル」は強い欲で知られている)に多く使われていたのが、【「ネットへはパソコンよりもケータイで」携帯のネット歴5年以上では過半数に達する】にもあるようにモバイル経由のインターネット利用期間が伸びるにつれて裾が広がり、検索利用者も多様化(そして一般大衆化)しているようすが分かる。
●手身近にあるだけに……「瞬間最大風速」が大きいモバイル検索
もう一つ興味深い話としては、パソコンの検索以上にモバイル検索は「瞬間最大風速」的な傾向が強いというデータがあるとのこと。元記事(=講演会)では一例として、「『株価』というキーワードの検索」が挙げられていた。いわく、
・通常はパソコン検索の方がきわめて多い(平日。休日は少なめ)。
・日経平均株価が急落するとパソコン、携帯ともに検索数が上昇するが、モバイルは時としてパソコン以上に多く検索される。
・よって、株価の急落時にはモバイルでも情報収集を積極的に行っていると考えられる。
というものだった。付け加えるとすれば、「パソコンが使えない環境下(例えば出先)で検索のニーズが高まる場合、そのキーワードの携帯検索利用頻度は急増する」ということ。株価以外ではたとえば、プロ野球や高校野球の決勝戦の時における「野球」、ワールドカップの日本戦の時の「サッカー」などが該当するに違いない。決定的瞬間・時間帯において、「知りたい」人がパソコン(やテレビなどの媒体)の前にいるとは限らないからだ。
検索エンジンは「見たい知りたい調べたい」という人間の欲にダイレクトな反応を返し、そこで使われたキーワードは「人の欲」の深みを映し出す鏡となる。パソコン以上に「身の内」にある携帯電話で使えるモバイル検索は、今後ますます進化すると共に、サービス提供側にも利用価値の高いデータを提供していくに違いない。その結果、元記事でオーバーチュアの担当者が「興味関心連動型広告」について触れているように、多種多彩なサービスの展開が利用者に提供されていくことだろう。
(最終更新:2013/08/01)
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