今後のネットビジネス市場はモバイルが牽引!? 野村総研が今後5年間の国内IT主要市場動向を予想
2008年12月19日 06:30
野村総合研究所は12月17日、2013年度までの日本国内を中心とするIT主要市場の分析と規模予想を発表した。それによると、ネットビジネス市場は2013年度までに約2倍に拡大し、中でもオンライン決済は年平均で15.5%と高い成長率が期待されると予想されている。携帯電話をはじめとしたモバイル市場による後押しが、躍進の要因とのこと(【発表リリース】)。
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今回の予想は2013年度までにおけるIT主要5市場の分析・規模予想の第二回に該当するもので、ネットビジネス・モバイル・ハードに的を絞ったレポートとなっている。そのうちネットビジネス市場に焦点をあてると、一番規模の大きなBtoC EC(企業から消費者に向けた電子商取引。アマゾンや楽天などのネット通販が代表的)をはじめ、取り上げられた項目はいずれも高い成長率を見せているのが分かる。
ネットビジネス市場(国内)(インターネット広告のみ「年度」ではなく「年」)
「BtoC EC」の規模が現時点でも6.2兆円、2013年度では11.7兆円が予想され大きな割合を占めているため、他の項目があまり目立たない形となっているが、いずれも成長率は高い。なお全体では2008年度において9.1兆円だった市場が2013年度には16兆円規模にまで拡大する予想が立てられている。
そこで2008年度~2013年度における成長率を平均化し、別途グラフ化したのが次の図。2008年度時点で市場規模が高い順に並べてある。
年平均成長率(2008~2013年)
元々市場規模がケタ違いに大きいBtoCは別にして、他の市場は黎明期~成長期にあたるため、現在はまだ市場規模が小さいこともあり、成長率が軒並み高い結果が出ている。一方、BtoCは規模が大きいにも関わらず、成長率が高い。この成長率を支えるのがひとえに「携帯電話などのモバイルの存在」。
詳細なプロセスデータは掲載されていないが、レポート本文によれば伸び率の高い項目において、携帯電話が成長の上で重要な役割を担っているのが分かる。
・BtoC……モバイルECが全体に占める割合は現在の20%から5年間で25%にまで増大。額は2.5兆円規模に。
・インターネット広告……2013年には2000億円、全体の2割以上を占める割合にまで拡大。
・オンライン決済市場……モバイルEC決済は現在の400億円から5年間で1000億円に。
オンライン決済市場予想。モバイルの割合が増加しているのが分かる
制限も多いがパソコンよりも手に入れやすく、操作も簡単で「ハードルが低い」携帯電話。その携帯電話を用いることで、これらのネットビジネスが言葉通り「手のひらに収まる」スタイルとなり、消費者に幅広く使われ、ネットビジネス全体を底上げする大きな要因となるのだろう。
公開レポートにはモバイルキャリア(携帯電話事業者)の予想もあるが、緩やかに減少する傾向を見せている。携帯電話端末本体も成長率はそれほど高くない。ある程度普及を果たした今となっては「普及した状態」をいかに活かし、よりよいサービスを提供していくかという「ネット上のソフト・サービスビジネス」に重点が移っていくに違いない。
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