リチウムイオンは5年で9割増し・電池材料市場の拡大傾向を富士経済を予測
2008年12月25日 08:00
富士経済は12月24日、一次電池(使い捨て型)と二次電池(充電型)の材料・部品の国内及び世界市場、さらには主要電池材料メーカーの取組について調査した結果を「2008 電池関連市場実態総調査 下巻」にまとめ、その概要を発表した。不景気下の中でも、むしろ不景気だからこそ電池の需要は高まっており、さらにレアメタル(希少金属)の価格が上昇しているために安価代替品の研究も進められているとのこと(【発表リリース】)。
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調査・予測結果によると、電池材料市場全体では2012年には2007年比で2割ほどの市場拡大を見せ、特に二次電池材料は高い伸び率をしめしている。
一次・二次電池材料の世界市場(億円)
特に二次電池において、ハイブリッド自動車向けにニッケル水素電池市場が拡大しており、これが二次電池の底上げ要因の一つとなっている。もちろん各社がリチウムイオン二次電池に注力度を高めているため、この分野での伸びも大きいとの事。
ニッケル水素とニカド電池について見てみると、後者は環境問題(カドミウムを使用している)ことから需要が減少。ニッケル水素電池は現時点では需要が向上しているものの、今後リチウムイオン二次電池への需要シフトが進むにつれ、伸び率は緩やかになり、数量ベースで多少ながらも減少の可能性を見せるとのこと。
種類別・二次電池材料の世界市場(億円)(注目項目のみ)
一方でリチウムイオン電池は高電圧を得られやすいことや、密度が高い、メモリー効果が小さい(中途半端な残存量で充電すると容量が減ってしまうように見える現象)、放電特性が小さいなどの特性から急速に普及しており、現時点では携帯電話やノートパソコンをはじめ、多方面で用いられている。今後もハイブリッド自動車や電気自動車など、伸びが期待できる分野への展開もあり、大きな伸びが期待できる。ただし現在利用されている高価格のレアメタルを使用している材料部分では、安い代替品の登場などで、利用「数」は伸びるが利用「額」はそれほど伸びないという現象が起きるものと思われる。
一方ご存知の通り、現在化石燃料を使わずにエネルギーを取得できる太陽電池(太陽光発電ユニット)が注目を集めている。今後ますます「電池」が、エネルギーや成長産業を語る上で話題に登ることが多いキーワードとなりそうだ。
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