金融危機、不安に感じない人の4割は「生活に関係ないから」
2008年12月26日 06:30
マイボイスコムは12月22日までに、現在の金融(工学)危機とくらしに関する調査結果を発表した。それによると、現在の金融状況に対して不安を感じて「いない」人はその理由として、「生活の中で特に影響を感じない」と回答している人がもっとも多く、4割強を占めていることが明らかになった。不安を感じる・感じないは別にしても、金融状況の不調さが実体経済に影響を与えている以上、認識不足を再確認する結果といえる(【発表ページ】)。
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今調査はインターネット経由で12月1日から5日の間に行われ、有効回答数は1万5130人。男女比は46対54で、年齢階層比は30代が36%、40代が29%、50歳以上が18%など。そのうち現在の金融状況について不安を「感じていない」人は全体の12.2%に達しているため、概算としては1850人程度が今件に回答したことになる。
いわゆるサブプライムローン問題に代表される「金融工学」によってもたらされた金融市場の混乱は資源市場、果ては実体経済に渡る不調・不景気を導いている。それでも不安を感じていない人に、その理由を尋ねたところ4割以上の人が「生活の中で特に影響を感じない」と回答していた。
金融不安を感じていない理由
いくつかの選択肢があるが、それらは大きく三つに大別される。
・自分の身の回りの生活には関係がないと考えている……生活中に影響を感じていない、直接価値が下がる金融商品を所有していないなど。
・ポジティブシンキング……円高に移行しているので海外旅行がリーズナブルになったり、輸入品が安く買えると考える。また金融商品そのものが下落しているので、「今が買い時」と考えている。あるいは「どの道この混乱もじきに収まるだろう」と静観のかまえ。
・良く分からない……(状況を把握できず他人事と考え)興味関心がない。状況が理解できない。
まったくの無関心派である「なんとなく」をのぞけば幾つかの重なる領域はあるが、このような形になる。まず「良く分からない」はある意味仕方が無い。専門家ですら把握し切れていない状況において、理解するように、というのが間違っているのかもしれない(しかしそれでも報道などはかみ砕いて概要でもさとすべき)。
また、ポジティブシンキング派はある意味究極の選択肢。「モノは考えよう」「ピンチはチャンス」という言葉があるが、確かにこれなら「不安」を感じなくとも済む。「どうしても超えねばならない不安要素のハードル」さえクリアできれば、実はこれが最強かつ最善な選択肢といえる。
最後に、そしてもっとも気になるのが「自分の身の回りの生活には関係がないと考えている」派。直前の記事で例に挙げたように「パン1斤が「●×製パンの1株あたりの株価と同じ」価格で店舗に毎日並べられるとしたら、●×製パンの株価に敏感になる」が、そうで無い限り「金融状況の変動」と「手身近な経済の変化」が見た目には結びつきにくい。昨今の物価上昇や雇用問題などの不景気も、「株や商品先物などの金融状況の変動」とはまったく別の次元で動いているという認識なのだろう。ある意味、【「デカップリング論」って何?】で説明した「デカップリング」が、「金融状況」と「自分の周辺経済」との間で完成しているようにすら見える。
しかし実際には、例えば【株価が安いとどんな良いこと・悪いことがあるのか再確認してみる】にあるように、株価が下がれば「直接的ではなく間接的に」さまざまな実体経済、つまり一人一人の経済周辺に大きな影響を及ぼすし、円高にしても同じようなことがいえる(【円高になるとどんな良いこと・悪いことがあるのか再確認してみる】)。直接目に見えないだけで、金融状況の変化は確実に、個人の生活にまで影響を及ぼしている。何しろ「金融」とは突き詰めれば「お金の流れ」であり、お金は人間の社会生活には欠かせないものなのだから。血液の流れがよどんでくれば、体調が悪くなって当然のお話といえる。
実体経済に大きな変化が生じ、そこでようやく気がついてからでは「ああ、もっと早く気がついて色々と対処しておけばよかった」と後悔するに違いない。今のうちに少しでも気がつき、楽観視するなり、防御策を講じるなり、「対処」を見出すようにしよう。
(最終更新:2013/08/01)
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