アメリカ自動車メーカー「ビッグ3」の最新販売実績などをグラフ化してみる(下)

2008年12月08日 08:00

フォードTイメージ現時点においてサブプライムローン問題やCDS・CDO、金利問題以上に注目されているのが、アメリカの一大産業である自動車産業の象徴ともいえる「ビッグ3」(GM、クライスラー、フォード)の救済問題。その「ビッグ3」をはじめ、アメリカの経済・産業・文化を支えている自動車産業が現在どのような状況にあるのか。専門誌のデータを元にグラフ化する企画記事の下編。今度は販売実績「の推移」を数年来のデータを元にグラフ化し、斜め見してみることにする。

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今回もデータ取得元は80年以上もの歴史を持つ自動車専門誌【WARD'Sの公式ウェブサイト】。こちらの【データベースページ】から最新の2008年11月分、さらには過去にさかのぼり、存在しうる2005年1月以降のデータを取得し、グラフ化した。

まずはアメリカ製普通自動車(自動車カテゴリーから軽トラックや軽車両をのぞく)が、アメリカ国内でどれだけ売れているか。この「アメリカ製」にはアメリカ合衆国以外にメキシコ・カナダのも含む。

アメリカ国内産普通自動車の国内月間販売実績(国内産=アメリカ・メキシコ・カナダ)
アメリカ国内産普通自動車の国内月間販売実績(国内産=アメリカ・メキシコ・カナダ)

直近データの2008年分を分かりやすいように赤で着色したが、赤い棒グラフが過去4年間の中でほとんどどの月においても低い値を示していることが分かる。特に下半期以降、急速に落ち込んでいるのが見えるだろうか。

自動車の販売には機種毎の流行り廃りや各社のセールスプロモーション、その他の要因(税制の変更やガソリン価格の上下、災害などによる経済的な余力の突発的変動)が大きく影響する。また、季節・月ごとでも売れ行きは違ってくる。そのため、前年・前々年比が多少ずれ込むことはあるし、単純な前月比との比較はあまり意味が無い(これは他の多くの物品の販売データでも同じこと)。

そこで「前年同月比」を算出し(元データが4年分なので「前年」比は3年分しか出せない)、その変化を折れ線グラフにしたのが次の図なのだが……。

アメリカ国内産普通自動車の国内月間販売実績前年同月比推移
アメリカ国内産普通自動車の国内月間販売実績前年同月比推移

グッバイマイカーイメージ今年6月前後まではなんとか前年比プラマイゼロ付近で維持できていたものの、6月以降は急速に下降していることが分かる。原油価格=ガソリン価格が直近で最高値をつけたのが7月11日の147.27ドル。景気の緩慢な悪化と自動車ローンの査定の厳格化で購入そのもののハードルが高くなりつつある中、ついに「ガソリン高」「ローン査定厳格化」「可処分所得減少」「物価高」などを抑えていた堤防が「決壊」し、自動車離れが加速したものと思われる。

その後、原油価格=ガソリン価格は下落の一途をたどっているが、景気の悪化・ローンの借り入れの困難化など他の条件は悪くなりこそすれど改善化の兆しは見られず、これが消費者から自動車購入を遠ざけている結果になっているものと思われる。

少なくともここ数か月、アメリカにおける自動車の販売実績が急速に悪化していることは確認できよう。


■一連の記事:
【アメリカ自動車メーカー「ビッグ3」の最新販売実績などをグラフ化してみる(上)】
【アメリカ自動車メーカー「ビッグ3」の最新販売実績などをグラフ化してみる(下)】

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