【更新】2008年11月度の外食産業の売上は前年同月比でプラス5.3%・土日祝日の多さが主要因
2008年12月26日 06:30
日本フードサービス協会は12月25日、協会会員会社を対象とした外食産業の市場動向調査における2008年11月度の調査結果を発表した。それによると総合売り上げは前年同月比でプラス5.3%となり、先月に続いて二か月連続してのプラスとなった。土日祝日という外食産業にとって稼ぎ時の日が昨年より3日多いのが主要因で、実質的にはほぼ横ばいであると協会側は分析している([発表リリース])。
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今調査はファストフードやファミレス、パブレストランや居酒屋、ディナーレストラン、喫茶店などを対象に行われたもので、対象数は事業者数が172、店舗数は29537店舗(既存店はそれぞれ157、23499)と、先月と比べると事業者数が減少しているのが気になる。
全業態すべてを合わせた11月度売り上げ状況は、前年同月比で105.3%と前年同月を5.3%上回り、先月から続いてプラスを見せることになった。しかし冒頭でもコメントしたように、休みの日が昨年と比べて多かったのが主要因で、実質的には売上はほぼ同レベルと協会側では分析している。
業態別では相変わらずファストフードが堅調で、リリースコメントにもあるように、低価格帯で商品を展開する店舗の堅調さが目立つ。今月はめん類だけでなく洋風店も10%以上の売り上げ増を見せている。ただし先月も指摘したように、めん類においては売り上げ増率ほどではないものの店舗数そのものも増加の一途をたどっており、飽和点に達してしまうのではないかという不安がある(一方洋風店は店舗数はむしろマイナス。客単価の跳ね上がりと客数の増加が好成績の要因)。
一方ファミリーレストラン部門の伸び率は全体では先月同様「ひとつ」(今月は幸いにも、ではない)。中華が一番健闘している図式はこれまでと同じで、店舗数が減少しているにも関わらず客数が増えている。中長期的に中華系は人気が出ているのかもしれない。
今月は天候に関する言及が元リリースになかったこともあり、外食産業の売上を左右する天候状況は特になかったようだ。むしろ日取りの問題で昨年と比べて土日祝日が3日も多いという特異な状況にあったことが、売上などを底上げしたと思われる。
全店データ(既存店、新店合わせて)
先月、連続していた記録が途絶えた「新築されためん類のお店が非常によく頑張っていることが分かる」という傾向は再び再会の様相を見せている。店舗数増加割合の2倍以上客数と売上が伸びているのでさほど心配は要らないが、どこまでこの堅調さが続くのかという一抹の不安もある。ラーメンが飛びぬけて流行っているようには見えないので、むしろ深く静かに浸透しつつある、ということなのだろうか。
3日多い土日祝日が
全体を底上げ。
ファミレスは
中華以外は軟調。
小麦や原油の高騰は世界的な傾向として表れてい「た」。商品先物市場もひとときの暴騰市場開始前の状況まで戻すどころか、原油などはそれ以下の下落ぶりを見せている。タイムラグや景気そのものの後退のため、原材料や商品への反映は今しばらく時間がかかるが、材料調達費と外食店を訪れるお客の「足」となる自動車のガス代の点では、しばらく頭を抱える必要はなくなるだろう。
ただし景気そのものが後退し消費性向が減退したため、「外食」そのものをぜいたくな生活様式ととらえ、出来るだけ自炊、あるいは外食でも安価な商品を選ぶという傾向が強まりを見せている。【「借金してでも浪費」から「生活防衛」へ~リセッション入りするアメリカで変わる消費者行動】でもあるように、景気後退で先行するアメリカで顕著に見られる傾向で、日本でもその道を歩みつつある。ラーメンやハンバーガーなどの低価格で美味しくいただけ、お腹一杯になる外食に人気が集まるのも、時代の流れなのかもしれない。この傾向はしばらく続き、関連分野の企業は「比較的」安心して事業を継続できるに違いない。
(最終更新:2013/08/01)
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