各種安売りセールが幸いして食料品が堅調…2008年11月度のチェーンストアの売上高、前年同月比+0.6%
2008年12月23日 12:00
【日本チェーンストア協会】は12月22日、チェーンストア(スーパーやデパートなど)の2008年11月度における販売統計速報を発表した。それによると11月は節約志向が強まる傾向があったものの、土日が多かったこと、気温が低下したことによる鍋物需要の増加、各種安売りセールが幸いして食料品が堅調となり、総販売額は前年同月比で四か月ぶりに上回る結果となった。ただし食品以外の部門の不調ぶりは相変わらずの状況といえる(【発表リリース】)。
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今調査結果は協会加入の71社・8791店舗に対して行われている。店舗数は先月比で67店舗増、前年同月比で1店舗増。売り場面積は前年同月比99.4%と0.6%ほど減っている。企業数はやや増加の傾向を見せているが、売り場面積は横ばい。踊り場に来ているのかもしれない。
ここ数か月間店舗数・売り場面積・従業員数・売り場面積あたりの売上額すべてにおいて前年同月比マイナスの値を示していたが、今月発表分の11月分データでようやく歯止めがかかった感がある。ただし統廃合の機運は収まっておらず、今後も最適化の動きは続くものと思われる。
分野別では前年同月比でそれぞれ次のような値が出ている。ちなみに数字はすべて店舗調整後(1年前のと比較するため、昨年存在しなかった店舗の分を除いた値)によるもの。
■総販売額……1兆1137億9336万円
・食料品部門……構成比:60.6%(前年同月比102.9%、△2.9%)
・衣料品部門……構成比:12.7%(前年同月比93.7%、▲6.3%)
・住関品部門……構成比:20.4%(前年同月比98.2%、▲1.8%)
・サービス部門…構成比:0.4%(前年同月比106.4%、△6.4%)
・その他…………構成比:6.0%(前年同月比102.3%、△2.3%)
総じて軟調。
食品のセールをしても
衣料・住関には
結びつかない。
11月は10月以上に景気後退感が肌身に感じられて消費者の生活防衛への気合が高まる状況ではあったが、土曜・日曜・休日が多かったこと、そして気温が低下して身体を温める食品(鍋物)の需要増加、さらにはデパートなどが率先して行った値下げセール、さらには円高還元セールなどのプロモーションが幸いし、食料品が堅調に推移した。しかしその売上アップも衣料品・住関品の底上げには結びつかず、全体販売額のアップも限定的なものとなった。
食料品は野菜が鍋需要や価格の上昇、さらには引き続きダイエットブームでバナナが堅調。肉類も鍋効果からか全体的にプラス。11月では「その他食品」(雑貨や菓子類、惣菜類)が冷凍食品以外大いに売れているのが目立つ。
衣料品は冬物はそれなりに売れているが、あとはおおよそ不調。住関品も季節関連商品以外はほぼ不調。ただし【自転車の販売動向をグラフ化してみる】でも挙げたように、自転車の売上は伸びている。
先月のレポートで「消費者は各種類店舗毎に購入アイテムを見極め、安いものをつまみ食いならぬ「つまみ買い」する傾向が強まっている」「特売をしても他の商品への集客販売促進にはつながらない」ことについて言及した。今月のデータはそれをさらに裏付ける結果が出てしまっている。消費者の生活防衛・安売りセールや円高還元特売をして食品価格を下げても、お客は「安売り商品にしか」興味を持たないようだ。
また衣料品の不調さの原因としてインターネットの要素以外に先日【デパート不調のもう一つの理由・アウトレットモールの魅力を探る】でアウトレットモールの存在を挙げた。スーパーやデパートの主要商品の一分野である衣料品が少しずつ他の業態に「食われている」ことは間違いないだろう。いっそのこと食料品のみデパート直営で、住関品や衣料品は専門店の完全テナント化してしまうのも一つの手かもしれない(つまりデパート内にアウトレットモールを作るような形)。
それは半ば冗談にしても特に衣料品・住関品の部門で、大規模な改革がスーパー・デパートに求められることは間違いあるまい。
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