「アメリカは2007年12月からリセッション入り」専門機関が正式発表

2008年12月03日 08:00

アメリカのリセッションイメージ【全米経済研究所(NBER、National Bureau of Economic Reasearch)】は現地時間の12月1日、アメリカ経済が2007年12月からリセッション(景気後退局面)に突入していたとの判断を正式に発表した。景気後退の状況はすでに多くの人が肌身を持って感じていることだが、今回の発表で「公式にも」それが認識されたことになる(【発表ページ】)。

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昨年夏のアメリカの低所得者向け住宅ローン「サブプライムローン」問題の露呈をきっかけに始まった金融危機(「金融工学危機」)は事態の打開が見出せず泥沼化する様相を見せている。今回の「リセッション入り」宣言により、2001年11月から始まった景気拡大局面は73か月で終了。前回の景気拡大時における期間120か月(1991年3月から2001年3月)と比べて、かなり短い寿命となった。

「リセッション」の定義は様々なものがあるが、アメリカにおいては一般的にNBERの認識・発表が最優先される。詳しくは【「リセッション」を再確認してみる】で説明しているが、

1.「経済活動全般」にわたって「相当な下降局面」にあること
2.(景気の後退が)数か月以上の持続的なものであること
3.実質GDP、鉱工業生産、雇用、実質個人所得(移転所得をのぞく)、製造業・卸売・小売の実質販売高などで明示的な下降が見られること


などの条件が揃うことで判断、「宣言」が行われるとのこと。

またリリースでは同時に「リセッション」期間が平均では6~18か月は続いていると言及している(現時点ですでに11か月は経過しており、最短でリセッション脱出の可能性はゼロ)。一方、NBERの所長やアメリカの複数の経済関係者が「今回のリセッションはこれまでの景気後退局面よりも期間が長くなるかもしれない」ことを言及している。アメリカではこれまで、戦後は1年前後(最短で6か月、最長でも16か月)で終了しているが、戦前は1929年8月~1933年3月(43か月)という長期間の景気後退を見せた場合もある。

この「リセッション入り」正式宣言を受け、昨日のアメリカ市場は大幅に下落し、また景気後退によって需要が引き締められるとの観測から、原油先物市場も大幅に下落するなど、早くもいくつかの影響が現れている。リセッション宣言で物理的に何か変化が生じるわけではないが、人々の心理に与える影響は大きく、それが間接的にさまざまな変化をもたらしつつあるようだ。


(最終更新:2013/08/01)

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