「輸入品より国産」食品で強まる国産志向
2008年11月21日 06:30
内閣府は11月17日、食料・農業・農村の役割に関する世論調査の報告書を公開した。それによると食料品を購入する場において国産・輸入品が並んでいた際、国産品を選ぶ人は全体の9割近くに登ることが明らかになった。特に男性より女性、若年層よりシニア層の方がその割合が高いことも判明している(【発表リリース】)。
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今調査は食料輸入に対する意識などを確認するために行われたもので、20歳以上の男女を対象に個別面接聴取方式によって2008年9月11日から28日に行われた。有効回答数は3144人、男女比は1455対1689。年齢階層比では男女共に50代がもっとも多く、ついで60代、70歳以上となっている。
食の安全や食料自給率への意識向上などから、国産の食品を積極的に選ぶ傾向が世間一般に強まっているが、今調査で「食料品を買う際に国産品と輸入品が並んでいる場合、どちらを選択するか」という設問を設定したところ、10人に9人近くまでが「国産」を選ぶ傾向にあることが分かった。
食料品を買う際に国産品と輸入品が並んでいる場合、どちらを選択するか
性別では女性の方がはるかに「国産品」選択の割合が高く、男性とは10ポイント近くの差が出ている。また、年齢階層別では年を経るごとに国産品を選ぶ傾向が強まり、70歳以上では8割以上の人が「国産品」を強く望んでいることが分かる。逆に20代では2割強の人が「特にこだわらない」と回答している。年齢が高いほど国産品へのこだわりも強いようだ。
また、8年前の調査結果と比べると「国産品」の割合はほとんど変わっていないが、「特にこだわらない」派が減り、それとほぼ同数で「どちらかというと国産品」が増えているのが分かる。
食料品を買う際に国産品と輸入品が並んでいる場合、どちらを選択するか(前回調査との比較)
前回調査から8年の間に、少なからぬ「国産だろうが輸入品だろうが特にこだわらない」としていた人が、「やっぱり出来れば国産品かな」という考えに移ったことが推測できよう。
若年層ほど輸入・国産にあまりこだわらず、歳を経てシニア(高齢)層になるほど国産品にこだわる傾向は、【「健康・安全」第一、「もっとも安く・安全面に一番問題」は中国・韓国産~主婦の食への考え方調査】でも同様の結果が出ている。そして全体的な国産品を選ぶ理由も、「安全面」「品質」「新鮮さ」が上位にきており、とりわけ「品質」「安全面」が前回調査より大幅に増えている傾向も確認できる。
これだけ立て続けに「食の安全」を確認させられる事件が相次げば当然の結果といえるが、今後この傾向が継続するか否かは判断が難しい。しかし同時に食糧自給率を高めるべきだという機運も高まっており(【食料自給率「低い」8割・「高めるべきだ」9割に】)相乗効果が生み出されれば、管理や追跡がしやすい国内産の食品を優先すべきだという動きはしばらく持続することだろう。
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