「借金のワナ」……アメリカ家計の借金実情をかいま見る
2008年11月21日 06:30
サブプライムローンやCDSなどの金融派生商品、そして最近ではクレジットカードなど、現在の金融危機の元凶の大部分は「借金」と「レバレッジ」、そして「金融工学」のキーワードに凝縮することができる。その中でももっとも深刻なのが「借金」。金融危機の発端となった国、アメリカでは大量消費を国是とするがごとく消費活動が行われており、「足りないお金はローン(借金)をして手に入れる」というライフスタイルがごく当たり前のものとなっていた。それが今、多くの人の頭痛のタネとなっていることはいうまでもない。【NewYorkTimes】ではアメリカが抱えるこの「借金問題」を「The Debt Trap(借金のワナ)」と名づけ、インタラクティブなコンテンツを展開し、紹介している。今まで何となく語られてきたことが確認できたり、思っていたよりも深刻な状況にあることができる内容のため、いくつかかいつまんで紹介することにする。
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今回はその中でも、アメリカ人の平均的な家庭が抱える借金と貯蓄性向について。元資料をたどると「アメリカ連邦準備銀行」とあるので、しっかりとした出所のデータであることに違いは無い。元記事では小さな別ウィンドウで開かれて表示されるものだが、ここではデータを抽出し、グラフに書き直してみる。
アメリカの平均的な家庭における借金の割合
比較対照として総務省が発表している家計調査年報の最新版(【データ】)を基にした日本の平均家庭の借金505万円を1ドル100円レートで換算して加えてみた。
為替レート以外に物価の問題などもあろうが、住宅ローンだけで日本の平均借金の1.7倍、さらにそれに教育・自動車ローンに住宅抵当ローンにクレジットカードのローンまで上乗せされるのだからたまったものではない。特にクレジットカードの借入残高が「平均で」約85万円というのは、日本ではあまり想像できない。
あげくの果てに、年間の平均貯蓄額は約400ドル。日本円にして約4万円。アメリカでは企業年金が盛んなこと(だからGMなどの自動車ビッグ3が頭を抱えている)や、貯蓄より投資が盛んな社会環境下にあることをあわせて考えても、「将来何かあってもまたローンを組めばいいや」と考えているとしか思えない数字。
アメリカでは(日本でもそうだが)金融危機によって貸し倒れりリスクが高まったことによって、銀行やローン会社の与信が厳しくなり、借り換えが出来なくなったり借り入れ枠が減らされたり、追加担保を迫られるケースが増えている。半ば以上借金で生活を支えていたアメリカの人たちのライフスタイルがどのように変化していく、変化せざるを得なくなるのか。注意深く見守る必要があるだろう。
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