ビジネス・マネー系雑誌の部数変化をグラフ化してみる

2008年11月17日 19:40

ビジネス・金融誌イメージ先に【少年・男性向けコミック誌部数の変化をグラフ化してみる】でまとめてグラフ化した、【社団法人日本雑誌協会】のデータ。このデータには少年・男性向けコミック誌だけでなく、多種多彩なカテゴリーに分類された雑誌の印刷実績が含まれていた。当サイトの色合いにあったものや、過去の記事に関連するものもいくつか見つけられたので、何回かに分けてグラフ化し、色々と考えてみることにする。今回は「ビジネス・マネー系雑誌」について。

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具体的なデータは、直近が2008年4月~6月のもので、1年前に該当する2007年度のものは2006年9月1日から2007年8月31日までのものの平均。いずれも「1号あたりの平均印刷部数」で、印刷証明付きのもの。つまり「この部数を間違いなく刷りました」という証明がついたもので、雑誌社側の公証部数ではなく、また「販売部数」でもない。時期的にはだいたい1年程度のへだたりを経たデータであり、どこまで雑誌数の印刷(≒販売)部数が変わっているが気になるところだ。

また、季節によって販売性向が変わる雑誌の場合、2007年が「年間平均」で2008年が「4~6月平均」なので直接比較するにはやや難があるが、今回取り上げる雑誌群にはその心配は要らないようだ(スポーツ系などの場合には変化がありうる)。

それでは早速、まずは2007・2008年度における印刷実績を見てみることにする。

2007年度と最新データによるビジネス・マネー系雑誌の印刷実績。
2007年度と最新データによるビジネス・マネー系雑誌の印刷実績。

雑誌名通り「プレジデント」の威厳が改めて確認できる。隔週刊誌と週刊誌をそのまま比較するのも少々酷だが、勢いそのものは否定できまい。

また、お気づきの通り、「ビジネス・マネー系」とうたっておきながら、投資系の定期発刊雑誌がほとんどない。これは「印刷証明付き部数」を公開している雑誌が少ないからである。例えば「業界関係誌最大部数」を誇る「ZAi」は、公称(自称)データはあるものの、裏づけが取れている「印刷証明付き部数」のデータがないのでグラフ化できない。また、「日経マネー」は2007年のものはあるが2008年のデータが見当たらないので、こちらも断念。

続いて各誌の販売数変移を計算し、こちらもグラフ化してみることにする。要は約1年の間にどれだけ印刷部数(≒販売部数)の変化があったかという割合を示すものだが、各年の印刷冊数を見ればお分かりの通り、大きくその数を減らしているものが多い。

雑誌印刷実績変化率(ビジネス・マネー系)
雑誌印刷実績変化率(ビジネス・マネー系)

特に「月刊アスキー」はこの1年間で印刷部数が半減したことになる。会社の方針転換などもあるのだろうが、少々心配でならない。同様に「\en SPA!」や「オール投資」などの投資系雑誌の落ち込み具合も目立つ。「業界関係誌最大部数」を公開していない、他の類似雑誌も似たような減少を示している可能性は高いといえる。

一方で「週刊東洋経済」や「週刊ダイヤモンド」「BIG tomorrow」など堅めで老舗のビジネス誌は堅調な成長振りを見せている。特に「週刊東洋経済」は10%以上の躍進。雑誌に勢いがつくと経営資源が多く配分され良いものができ、それがさらに読者を増やすという「ポジティブ・スパイラル」状態に突入しているのかもしれない。


先に【経済誌以外はほぼ軟調、5年間で4割減・主要雑誌の売行きデータ】において、「経済誌はそれなりに堅調」なことを紹介した。今回のデータを見る限り、本当の意味で「一部の」ではあるが、経済誌には常世の春が訪れていることが分かる。

これも現在の経済状態が軟調で、色々な人が経済に強い関心を示しているからかもしれない。しかしその一方、直接投資系の雑誌はリアルタイム性の高い情報が求められるため、雑誌よりもインターネットに注目がスライドしているのだろう。

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