「高いけど欲しいもの」への購入の是非からも見える「景気先行き感」への不安
2008年11月13日 08:00
情報サイト「ブロッチ」などを展開するアイシェアは11月12日、高額商品購入のマインドと実態に関する調査結果を発表した。それによると、最も高額な「欲しいもの」を今年の年末にかけて購入する予定がある人はわずか5%強でしかなかった。検討をする人も4割ほどいたが、過半数の人は買い控えを決め込んでいる。さらに買い控えの理由も、景気の不透明感によるところが数多く見受けられ、シニア層ほどその割合が増加している傾向が見受けられた(【発表リリース】)。
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今調査は10月28日から10月30日の間、無料メール転送サービスCLUB BBQの登録会員に対して行われたもので、有効回答数は374人。男女比は50.8対49.2。年齢構成比は20代15.0%、30代48.7%、40代29.1%、その他7.0%。オンライン調査であること、携帯電話のサービス経由で調査資格チェックを受けていることから、ある程度インターネットに精通している人が回答しており、世間一般と比べると多少の「ぶれ」が生じている可能性を考慮してデータを見る必要がある。
高額商品でもっとも欲しいものは、という問いも今調査では行われているが、回答はテレビやパソコン、趣味関係など多種多様に及んでいた(「欲しいものはない」も18.4%)。それら「高いけど欲しいもの」について、これから年末にかけて購入予定があるかと尋ねたところ、「購入する」と答えたのはわずか5.6%に過ぎなかった。
もっとも高額な「欲しいもの」を年末にかけて買う予定はあるか
年齢・性別による違いはあまり見られず、若年層ほどやや「購入」意欲が高い程度。過半数が「買い控え」を決め込んでいる状況に変わりは無い。
高額商品であるだけに、「欲しいからすぐに買う」と決断するのは滅多にないだろう。また半ば「願望・夢」的に考えている、あるいは「買えればいいけど、あくまでも目標であって性急に欲しいわけではない」という場合も考えられる。それでは具体的に「どうして買い控えをしているのか」について、その理由を尋ねたところ、全体でもっとも多いのは「なんとなく」、ついで「今は高いけど将来はもっと安くなるかも」という期待からだった。
高額な「ほしいもの」の買い控え理由
原因の3割強は
「不景気だから」
「不安だから」
「なんとなく」をはじめ「もっと安くなるかも」「もっと良いものが」は、高額商品を対象としているだけに当然の結果といえる。注目したいのはそれとは別の回答項目、具体的には「将来への不安」「月収の減少」「景気への不安」「ボーナス減少」といった、景気の後退(実績・感)を原因とする項目。これらの項目があわせて4割近い数字を出している。つまり「買い控え」の約3割強は「不景気だから」「この先不安だから」という気持ちが購入を押し留めているのが原因ということになる。
「将来不安で買い控え」
↓
高額商品の買い控えが
一層深刻に
さらに注目したいのは、この「不景気による不透明感」を起因とする買い控え割合が、年齢を経る毎に増えているということ。所得・可処分所得は当然若年層よりシニア層の方が高くなる傾向があるので、同じ割合ですらシニア層の買い控えの方が、市場全体の売上に与える影響は大きくなる。ましてや割合が増えているのだから、ますます高額商品市場で「モノが売れない」という状況に陥ることが容易に想像できる。
「月収の減少」「ボーナスの減少」は実体経済・企業の動向次第なので個々の問題になるが、「将来への不安」「景気への不安」は雰囲気によるところが大きい。現状は経済的に厳しくとも、将来・先行きに明るい兆しが見えるような政策が求められているのだろう。
それが果たされれば、少なくとも「不安」を感じている人が減って高額商品の購入モチベーションも上がり、市場活性化にも一躍買うに違いない。
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