銀行幹部を駆り立てるのはごう慢さと欲望、浪費されるのは国民の血税
2008年11月11日 12:00
証券銀行や大手銀行の相次ぐ経営危機に伴い、金融市場の混乱を防ぐため、政府資金や第三者による大規模な資金投入が行われている。そのような状況にもかかわらず、当事者であり責任者でもある当の銀行上層部が、大盤振る舞いのボーナス支給や派手で巨額の費用を投じたパーティーに興じていることが問題視されている。日本の一般報道ではほとんど報じられていないが、欧米ではこのような状況を受け、特に庶民レベルでの反発が高まっている。先日もイギリス政府から200億ポンド(約3兆円)の資金投入を受けた、HBOSの傘下にあるスコットランド銀行において、幹部たちが30万ポンド(4500万円)以上も投じてパーティーに興じたことが【Mail Online】などによって報じられ、市民の怒りを買う結果となっている。
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直前に開場をキャンセルし
別の場所で開催。
費用はしめて5000万円
元記事によると、スコットランド銀行の幹部たちは国から200億ポンドの資金投入を受けてから一か月も経たないある日、30万ポンド以上もの費用をかけてパーティーを実施している。曰く、「彼らの業務の成功を称えた、年に一度のお祝い会」とのこと。彼らは自分たちの置かれている状況を知ってか知らずか、当初開催予定地だったハンプシャーのホテルの予約を取り消し、エディンバラの北350マイルにある会場に場所を移している。もちろんマスコミなどの第三者に知られないためだ。
最初に予約されたハンプシャーのホテル内の会場(最低でも週末プランで8万9100ポンドほどかかる)は、スコットランド銀行が公的資金を受けている状況から、当然のごとく一般市民からの反発を受ける。そしてこの予約は取り消し。しかし彼ら銀行スタッフはその後、パーティー会場を「ひそかに」エディンバラに移し、より豪華な宴(うたげ)を繰り広げることになった。招待されたゲストたちには「表彰イベント」とのみ伝えられ、会場までの行き来の交通費は(足がつかないように)自ら支払うよう要求。そして後ほど請求すれば、その分を丸ごと返却するという用意周到ぶり。
彼ら銀行幹部たち約300人とゲスト68人たちは「銀行の経費」で5つ星のホテルでの宴を満喫し、深夜までブランデーを楽しみ、4つのコースから成る食事を堪能した。費用はしめて33万ポンド(5000万円)。場を盛りたてるために招待されたコメディアンのPatrick Kielty氏(一回の出演料は2万ポンド……300万円)は、銀行の貸し渋りや金融危機に関するジョークを披露したという。
優秀な働きをした社員を
表彰するのは当然だ」
(スコットランド銀行の
スポークスマン)
Patrick Kielty氏はこの「秘密の宴」のことについて、「絶対他言しません」とその場で述べたようだ。しかしスコットランド銀行の内部通達者が、この話をタブロイド紙の日曜版で暴露。全貌が明らかになった。「もう大判ぶるまい。食べ物、豪華なワイン、すべてにおいて最高だったよ」。内通者は続ける。「最近のスコットランド銀行のことを考えたら言語道断かもしれないけど、私たちはこれまで休みも取らずに働いてきたんだ(から、これくらい当然だろ)」。
今報道に対してスコットランド銀行のスポークスマンは次のように説明している。「この宴はささいなことに過ぎない。優秀な成績を上げた者への表彰は毎年やってることだし、彼らはほめ称えるに値するだけのことをしたのだから」。
Mail Onlineでは最近の欧米の新聞社サイトの事例に違わず、各記事毎に読者のコメントが書き込める仕様となっている。当然のことながら今記事には怒り心頭な意見が続々と寄せられ、現時点で200件を超える書き込みが行われている。内容も予想がつくとおり否定的なものが多く、「最近ではイギリスにおいて、失敗すると素晴らしい報酬を得られる傾向が見られるようだ。由々しき事態だ」「あぶく銭に群がる銀行員を何とかしろ。ローマが燃えて灰になっている間、彼らはバイオリンを弾いてのうのうとしてるじゃないか」「これはスキャンダルだね。彼らが過去にどれだけの報酬を得て、その状況が幸福だったことなのかを再確認すべきだね。私の夫はスコットランド銀行に口座を持ってるけど、この数か月職も無く、当然だけどこの事件でうらんでいるってさ」などの意見が目に留まる。
後ほど改めてまとめる機会もあるだろうが、政府の資金投入などで金融機関や大企業を救済する場合、救済すべきなのはその企業そのものなのか、その企業の持つ各種商品なのか、それともその企業でヘマをやらかした上層部・幹部たちなのか、考え直す必要があるだろう。さもなくば今件などのように、見方次第では「盗人に追い銭」的な行為となり、税金も無駄に使われてしまうに違いない。
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