今調査は8月29日から9月1日、20歳以上のインターネットユーザーに対してネット経由で行われたもので、有効回答者数は442人。ミニノートPC購入者・ノートパソコン購入者・デスクトップパソコン購入者・スマートフォン購入者各100人、PDA購入者42人が対象。年齢階層などは非公開。

「ミニノートパソコン」とは昨年参入した台湾のパソコンメーカーのASUSが提供する「Eee PC」シリーズが口火を切ったスタイルのノートパソコン。液晶サイズが10インチ前後、本体価格が8万円以下(現在では5万円前後)を指す。本調査では「液晶サイズ10インチ以下」「価格8万円未満」が対象。液晶が10インチ前後でメモリやハードディスク容量もちょっとしたデスクトップパソコン並み、テレビカメラ用にウェブカメラも装着されており、無線LANも内蔵し、すぐにでもインターネット接続が可能なものが5万円台で発売されている。需要が想像以上に大きかったからか、今では大手メーカーも続々この分野に該当する機種を展開している。

さて「所有する」機器(つまり自前の端末)の利用場所だが、もっとも多いのは「自宅の自室」でミニノートPCでは59％に達していた。もっともノートPCでは45％・デスクトップPCでは50％とほぼ同レベル。これは利用状況を想像すれば当然の数字。

所有する機器の使用場所

ノートPCはリビングでの使用が自室以上に多いことから、サブマシンとして自室以外での使用が前提となっているようだ(寝室や学校・会社内での利用も多い)。一方、ミニノートPCはノートPC以上に多種多様な状況下で利用される場合が多く、上位10項目ではどの場面でも2割前後以上は「使っている」との回答を得ている。

元々「ミニノートPC」のカテゴリに属するパソコンが出てから間もなく、利用に関する個人個人のフォーマット(スタイル)形成が定まらないというのも一因だろう。しかしそれ以上に、「ノートPC以上に機動力が高くどこでも使用しえるマシン」としてフル活動している様子が容易に想像できる。

それでは「場所を選ばず利用されているミニノートPC」はどのような使われ方をしているのか。

所有する機種の主な利用目的

もっとも多いのは「インターネット検索」で、これはノートPCもデスクトップPCも変わりがない。次いでメールもほぼ同じ。「ネットショッピング/オークション」となるとやや少なめになる。機動力を活かすメリットがあまりないからだろう。

一方、「パソコンデータの持ち出し」という項目で他機種と比べて大いに値を伸ばしているのが注目に値する。データの持ち運びだけならUSBメモリなりCD-Rなりで問題ないのだが、そのような「純粋な記憶媒体」では運搬中におけるデータの確認や微調整は不可能となる。ミニノートPCは大容量も自慢の一つであり、「調整も確認もできる、機動力の高い端末」としての認識もあるものと思われる。

ミニノートPCに対しては「どのみちネット検索とメール、データの持ち運びしかできない。他の機能は中途半端。わざわざ新規に購入する意味があるのか」と否定的な意見もある。しかしそれらの重要な機能は海外ならば「ブラックベリー」など、少々大きめな携帯電話が代替している。ただ、メインで使う端末との互換性やデータのやり取りの便利さを考えると、やはり純粋なパソコン、あるいはそれに近いものの方が望ましい。

【ミニノート 約9割がパソコン通 買い増し目的8割以上も】にもあるように、ミニノートPCはその大部分が「メインマシン」ではなく「サブマシン」として活用されている。その点から考えてみれば、ミニノートPCの立ち位置が「使う場所は自由自在多種多彩」であり、「主な使い道はデータのやり取りやネット検索、メールチェック。でも他の使い道も十分に出来るよ」なのはあるのは当然といえよう。

そして「サブマシン」を欲していたパソコン(のヘビー)ユーザーユーザーの「それなりに高性能で、機動力の高い端末を」というニーズに応えるだけのものだからこそ、Eee PC-901をはじめとするミニノートPCに注目が集まっているのだろう。要は「ノートパソコンより気軽に持ち運びできて、ケータイよりも機能充実なサブマシンが欲しい」というニーズにマッチした存在なわけだ。それはかつてシグマリオンやチャンドラーが座していた位置であることはいうまでもない。

(最終更新:2013/09/05)