世界最強な防爆仕様ゴミ箱、ロンドンに登場
2008年11月04日 06:30
日本でも国際的なイベントが開催される前後には公共施設からゴミ箱の類が撤去されたり封印されることがある。中に色々な「モノ」が仕込まれる可能性があるからだ。ゴミを捨てようとして視界にあるゴミ箱にフタがされ、貼られている注意書きなどに「非常警戒態勢のため」云々という文字が躍っているのを見ると、複雑な気分になってしまうもの。イギリスの首都ロンドンでは日本以上に、警戒態勢がきびしく、ゴミ箱が不足しているという。ところが来年から新兵器ならぬ「ハイテクな新ゴミ箱」が登場、「ゴミ箱不足問題」も解消しそうという話が舞い込んできた(【TimesOnline】)。
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イギリス・ロンドンに登場予定の「ハイテクゴミ箱」
これはイギリスの【Media Metrica】が提供するゴミ箱「THE RENEW SOLUTION」。巨大化したデスクトップパソコン本体の前面に液晶モニタをつけたようなこの造形、実は情報発信端末を兼ねた「防爆仕様ゴミ箱」。同社ではロンドン市内の金融地区に100台のこのゴミ箱を無料で設置する許可(15年)を得ることができた。このゴミ箱、単なる「箱」ではなく、対爆発・爆弾向けに耐久度をきわめて高めた「お硬い箱」となっている。ちなみにスペックは幅0.55メートル、高さ1.25メートル、液晶部分は32インチ。
ロンドンでは発見が難しいゴミ箱の中にIRAなどの組織が爆弾をひそかに投げ入れて爆発させ、周囲に被害をもたらす事件が相次いだため、ゴミ箱のほとんどが撤去されていた。説明に曰く「内部で爆発が起きても衝撃波を抑え、熱と飛び散る破片を押さえ込むため、市民は安心してゴミ箱を利用できる」とのこと。
もちろん強固なゴミ箱を無料で設置したのでは単なるボランティア。Media Metricaではこのゴミ箱にモニタを設置。経済関連の情報番組を表示することで、収益をあげようと模索している。
宣伝効果は高く、企業イメージにもプラスとなり、ビジネスモデル的にも自動販売機やコインロッカーのような「利益が出やすいビジネス」のようにも見える。しかし問題なのはゴミ箱そのものの単価。1つあたり3万ポンド(約475万円)とかなり高価なものなので、現在Media Metrica社ではゴミ箱のモニタを閲覧しうる利用者の分析結果などを提示し、スポンサーを探している。
ゴミ箱の利用者は便宜性が高まるし、市当局は環境の整備と治安の向上が確保でき、Media Metricaは自社のブランド力アップと放送権や広告収入を得られる。三方全得な素晴らしい話。ゴミ箱自身の単価を下げるか、スポンサーが相次いで手を挙げてくれれば、じきにロンドンの新しい名物になるかもしれない。
……ちなみにこのゴミ箱。内部爆発に対して耐久性が高いのであって、外部からの力に強いわけではない。「周辺で何か事故が起きたらこのゴミ箱の中に入って隠れれば安心かな」と思う人がいるかもしれないが、大きな間違いなので、念のため。
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