今調査は10月23日から24日、全国在住の20～69歳の既婚女性に対してインターネット経由で行われたもので、有効回答数は455件。年齢比は20・30・40・50・60代それぞれ82・81・87・91・114人。ほぼ均等だがやや高齢者の方が割合が高い。また、各年齢層毎のサンプル数が100を切っているため、年齢層単位のデータは多少のぶれが生じていることを考慮しておく必要がある。

これまでの商品価格の傾向がややデフレ気味だったせいもあるが、去年夏の「サブプライムローンショック」をターニングポイントとしたような資源価格・商品価格の高騰に、家計への影響を感じている人も多い。今調査でもこの一年間で物価上昇を実感した人が99％、家計への影響があるとした人も98％を占めている。

よほど収入に余裕がない限り、これまでと同じ消費行動をしていたのでは家計の収支が成り立たなくなる。値上げに伴う「主婦ならではの対策行動」を取っている人は97％にも達しており、17の具体的な選択肢の中から実践しているものを複数回答で選んでもらったところ、もっとも多かったのは「価格の安いものを買う」で7割近くを占めていた。

値上げに伴う対策行動(複数回答・トップテンのみ)

「価格の安いものを買う」に続き「特売日を狙って買い物をする」「価格の安い店を選ぶ」など、「直接安いものを手に入れる」行動を多くの主婦が実践していることが分かる。

また今調査では年齢階層別の回答率も併記されており、これも合わせて眺め見るとさらなる傾向が見てとれる。

全般的に高齢層は若年層よりこだわりが強く、若年層ほど割り切った「値引き買い」が出来ない傾向にあるようだ。これを「品質重視」「安全への傾注度が高い」と見るべきなのか、「安物買いなど恥ずかしくて出来ない」という意固地さから来ているのかは、今調査の結果からだけでは判別できない。

売上不振状態のデパートなどでは、これまで以上に特売を繰り返してとにかくお客を集め、特売品以外の商品の販売で「特売品分の損失」を穴埋めしようとする傾向が強まっている。しかし昨今の購入者はそのような状況でも、極力安売り商品のみを買い、他の商品には手をつけず、店舗側の思惑が外れる場合が多くなっている。

デパート・スーパー部門の月次報告分析記事でも、何度と無くその傾向を指摘してきた。今回の「主婦を対象としたアンケート」結果でも消費行動のトップ3に「価格の安いものを買う」「特売日を狙って買い物をする」「価格の安い店を選ぶ」が来た事から、それがある程度裏付けられたことになる。

もちろん郊外ショッピングモールが繁盛しているように、「安いものもあわせてまとめ買い」する傾向もいまだに健在している場面もある。しかしそれは郊外ショッピングモールでの買い物が「純粋な買い物だけ」にとどまらず、遠足のような「イベント参加」も兼ね合わせているという認識があるからに他ならない。

いわばスーパーやデパートは従来自分自身が持っていたその特徴を失い、郊外ショッピングモールに奪われた形。その特徴無き今、単なる商品販売店となった以上、消費者が極力安いもののみを求めるのは当然の結果といえよう。

「若年層ほどこだわり無く安いものに手を伸ばす」「高齢層は若年層よりこだわりが強い」。スーパーやデパートが起死回生を狙うなら、このあたりにヒントがありそうだ。