バブル時代とITバブル時代の株価下落率から、今の急落相場の底値を推測してみる
2008年11月03日 12:00
先に【主な急落相場の株価下落比率をグラフ化してみる】で日経平均株価の過去データを抽出している際に、直近の2つのバブル時期のデータが目に留まった。日経平均株価そのものは2000年4月に30銘柄もの入れ替えを行っており、その連続性に一部疑問視される話もあるが(【参考:大阪大学大学院経済学研究科 齊藤誠氏・大西雅彦氏らによる覚え書き、PDF】)、それはさておき1989年12月の「バブル絶頂期」、2000年4月の「ITバブル絶頂期」、そして直近の「金融工学暴落」にいたるまでの直近高値とその後の安値を比較すると、意外な数字が浮かび上がってきた。
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それぞれ3つの時期の最高値と最安値を月単位で並べると次の通り。ちなみに最後、つまり現在進行形の「金融工学暴落」は仮の最安値。まだ底値を打ったとは判断し得ないからだ。
・バブル時代:騰落率……-63.56%
最高値:1989年12月……3万8957円44銭
最安値:1992年08月……1万4194円40銭
・ITバブル時代:騰落率……-63.50%
最高値:2000年04月……2万0833円21銭
最安値:2003年04月…… 7603円76銭
・金融工学暴落時代:暴落率……-61.78%(※現在進行形)
最高値:2007年02月……1万8300円39銭
最安値:2008年10月…… 6994円90銭
直近2回の急落相場の動向と今回の「金融工学暴落」における最高値からの下落率。
奇妙なことに、過去二回の「バブル」崩壊時には、直近最高値からの最安値の割合がいずれも「-63.5%前後」に収まっているのだ。元値が同じならともかく、「バブル時代」は最高値が4万円近く、「ITバブル時代」のは2万円ちょっとと、2倍以上も違う。にもかかわらず最高値から最安値までの下落率はきれいに63.5%の値を示している。
「三度目の正直」ということわざもあるが、同時に「二度ある事は三度ある」というのもある。また、投資家らの市場心理が同じような傾向を示すのであれば、今回の「金融工学暴落」時代もそれを踏襲(とうしゅう)する可能性は否定できない。そして仮に-63.5%で直近最高値から計算すると
1万8300円39銭×(1-0.635)=6679.64円
という値になる。
……もうお気づきだろう。先に「主な急落相場の株価下落比率をグラフ化してみる」で下落率グラフから推定した底値「6500円前後」、さらには【日経平均株価と「半値八掛け二割引」と「6666」と】で相場格言「半値八掛け二割引」から算出した「6666円」と奇妙にも近しい値になるのだ。
前者が日経平均株価の下落率を示したグラフの形からの推定で、元々の絶対値的な下落率と類似するのは仕方ないとしても、格言から試算した値とも一致するのは、偶然というにはあまりにも話が出来すぎている。
格言や過去のデータはいずれも投資家たちの市場に対する心理状況が反映されたもの。それを考えると、同じような結果が出るのもある意味当然といえる。
現時点では10月28日に場中でつけた最安値6994円90銭を底値に、やや反発する向きが見られる東京株式市場。彼に今後直近で再び下げ基調に移行したとしても、下値の強固な心理抵抗線として6500円~6700円(特に6600円台後半)が立ちはだかる。そう考えても良いのかもしれない。
それにしても、数字とはかくにも興味深いものなのか、改めて感心させられた次第である。
(最終更新:2013/08/02)
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