GDHが業績下方修正、経営再建のためにアニメ作品を半分に絞り込み・制作ラインのリストラも断行

2008年11月11日 08:00

DVD作品イメージアニメなどの映像コンテンツ開発会社である【GDH(3755)】は11月10日、業績の大幅な下方修正を発表すると共に、経営再建のためアニメ作品の絞込みや制作ラインの整理統合など、アニメ事業の大幅なスリム化を図ることを発表した。年間作成作品ペースをこれまでの8作品から4作品とし、厳選したタイトル制作体制とする(【業績予想修正リリース、PDF】【経営健全化計画リリース、PDF】)。

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リリースによると2009年3月期通期の連結業績予想はこれまでの予想の3億2900万円の赤字から16億円の赤字に下方修正。事業リスクを減らし経営再建のために新規受注を一部見直したこと以外に、版権販売が伸び悩んだこと、さらには投資事業において有価証券の評価損が発生したことにより、大きく業務成績が落ち込むこととなった。特に新規アニメーションタイトルの見直しによる損失(純利益)4億6900万円や、アニメーション海外ライツ見直しの2億8900万円などが痛手となった。

同社ではすでにDVDなどの販売不振から2期連続しての最終赤字、さらには債務超過に陥ったことで、今年の9月に投資ファンド「いわかぜキャピタル」による資本注入が行われ、経営再建が進められている。今回発表された経営健全化計画も、今回の状況を踏まえて来期以降確実に収益を確保するためのものと説明している。

具体的には

・アニメ事業のスリム化
 「『社内4スタジオ』+『協力会社への外注』で年間8作品程度制作」体制を、社内においては制作部門の集約化により1部門にまとめ、”社内では”年間4作品程度を厳選して制作する体制に。
 既存の生産ラインの設備や人員の一部は、別会社への売却・転籍を検討。
 →外注への傾倒度強化により、柔軟な制作対応が行えるようにする。
・経費見直し
 家賃削減、システム費用削減、社用車売却や接待交際費・会議費・広告宣伝費などの見直しによる管理可能経費の削減。役員報酬の減額継続と拡大化。
・組織体系の見直しと合理化
 100%子会社の「ゴンゾ」と重複している間接業務の解消を目的に、組織の統廃合を検討。「GONZOブランド」を会社名として求心力・モチベーションを高めるため、会社名の変更も検討。また、経営資源をアニメ事業・オンラインゲーム事業に特化するため、ファンド運用などの周辺事業についても見直しや統廃合を検討。


などが挙げられている。

ラインの削減と経営資源の集中化により、どの予定タイトルが影響を受けるのかについては言及が今のところはない。ただ、オンラインゲーム部門においては既存タイトルである『マスターオブエピック』『ドルアーガの塔』『パンドラサーガ』など具体名を挙げて「安定的な売上をあげている」ことからこれらの日本国内でのさらなるシェア拡大を目指すとしており、同タイトルたちが経営体質の改善に伴いサービス終了となることは無いものと思われる。

【アニメセクター銘柄の決算を比較してみる】でも触れているが、アニメ関連の上場企業の中では、GDHの営業利益率の低さは群を抜いている。作品の質の良し悪しは別にしても、利益を上げない限り投資家からはそっぽを向かれてしまうことは否定できない。今後はいかに質の維持向上を図りつつ、利益を生み出す体制を見出していくかが、GDH再生の鍵となる。一方、ファンにとっては、「どの予定タイトルが存続するのか」が気になることだろう。

(最終更新:2013/08/02)

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