冷え込む妻・頼ろうとする夫~「普通一緒の時間を充実させたい」が20年間で夫婦逆転

2008年11月23日 12:00

夫婦イメージ博報堂は11月20日、夫婦間における互いの関係に関する調査結果を発表した。それによるとこの20年の間に「夫婦で一緒の時間を充実させたい」と考えている夫は増加しているものの、妻は逆に減少する傾向が見られ、その割合は逆転したという結果が出ていることが明らかになった。夫婦の間柄では20年前と比べ女性はドライに、男性は依存心が高まったようでもある(【発表リリース、PDF】)。

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今調査は2008年6月12日から7月7日の間、首都40キロ圏内において訪問留置自記入法式によって行われたもので、対象は「妻の年齢が20~59歳」「夫婦が同居しているサラリーマン世帯」「夫がサラリーマンであること」の条件を満たしたもの。サンプル数は600。また、1998年と1988年に同様の調査をしており、今回はそれら過去のデータを用いて変化を見ている。

夫婦両方に対し、今一番充実させたい時間について選択肢の中から二つまで選んでもらったところ、2008年の時点でもっとも多かったのは夫が「家族一緒の時間」。一方で妻は「自分のプライベートの時間」だった。

今一番充実させたい時間(二つまで選択)
今一番充実させたい時間(二つまで選択)
妻は「夫婦の構成員」よりも
「一人の女性、人間」としての
時間を追求している?

「充実させたい」という願望は、「今不足している」ことの裏返しともいえる。その観点で考えれば、今夫に不足しているのは「家族一緒の時間」であり、妻は「自分のプライベートの時間」ということにもなる。

第三位以降の回答率を見ると、特に妻においてはとりわけ「自分のプライベートな時間」を切望していること、「親しい友人と一緒の時間」の回答率の高さもあわせ、夫と比べて「夫婦としてのひとまとめ」ではなく「個別の人間」としての時間を求めている傾向にあることがうかがえる。

また、妻の「個人としての立場を重視する」動きは時代の流れでもあることが、過去20年間のデータの移行からも確認できる。「自分のプライベートな時間」「夫婦一緒の時間」それぞれの項目について20年の変移を折れ線グラフにしたのが次の図。

充実させたい時間で「夫婦一緒の時間」を選んだ人の割合
充実させたい時間で「夫婦一緒の時間」を選んだ人の割合
充実させたい時間で「自分のプライベートな時間」を選んだ人の割合
充実させたい時間で「自分のプライベートな時間」を選んだ人の割合

つかては夫が「プライベート重視」妻が「夫婦重視」だったのに、今では夫が「夫婦重視」妻が「プライベート」重視。20年の間に、「夫婦一緒」「プライベート」の考え・重みについて、夫婦間で価値観が入れ替わってしまったかのような雰囲気が見られるデータではある。

また今調査では別項目でお互いの呼び名についても尋ねているが、「パパ」「ママ」などの役割での呼び合いは数を減らし、それぞれの名前や愛称などで呼ぶ夫婦が増えている。これも夫婦が互いに個人として相手を認め合う、個々を尊重する関係に移行している傾向の一つともいえる。

しかしだからといって「夫婦間が冷え込んできた」とも言い切れない。子どもや両親などを加えた「家族間の時間」についての回答は男女共に大幅に増加する傾向を見せている。

充実させたい時間で「家族一緒の時間」を選んだ人の割合
充実させたい時間で「家族一緒の時間」を選んだ人の割合

こちらでも夫婦の逆転現象は起きているものの、両者とも上昇していることに違いは無い。「子はかすがい」の言葉通り、子どもの存在が夫婦を強く結びつける要因として大きな役割を持つことになりつつあるのだろう。

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