今調査結果は協会加入の71社・8724店舗に対して行われている。店舗数は先月比で44店舗増、前年同月比で20店舗減。売り場面積は前年同月比99.6％と0.4％ほど減っている。企業数はそのままであり、業界全体の引き締めムードが拡大しているように見える。

9月の統計データでは店舗数・売り場面積・従業員数・売り場面積あたりの売上額すべてにおいて前年同月比マイナスの値を示していたが、今月発表分の10月分データでもその傾向が続いてしまった。特に1平方メートルあたりの売上額が前年同月比で95.1％と大幅減少の状態にあることから、各企業が非常に厳しい状況に追いやられているのが分かる。また従業員数も-2.8％と先月同様に大きく数を落としている。

分野別では前年同月比でそれぞれ次のような値が出ている。ちなみに数字はすべて店舗調整後(1年前のと比較するため、昨年存在しなかった店舗の分を除いた値)によるもの。

10月は景気後退感などで消費者のサイフのひももキツくなり、さらに天候的に温暖だったことから秋もの・冬ものへのニーズが伸び悩んでしまった。食料品は相変わらず順調な伸びを見せているが、それ以外の分野はほとんどにおいて大きく減じている。特に衣料品の落ち込みは大きなものがある。リリースでは「生活者は価格に敏感となっており、セール品や価格据え置き品は動くものの、その他の品目の動きは鈍い」と言及しており、特価セールスで客足を呼び寄せても、他の商品への相乗効果が薄いことを解説している。

食料品は引き続きダイエットブームでまさに「飛ぶように売れている」バナナが堅調だが、あとはじゃがいも、玉ねぎなど一部が好調なものの、その他の野菜や果物はあまり思わしくない。ただし肉類は牛肉以外は加工品も含めてすべて堅調。

衣料品はブラウス、ワンマイルウェア、レイングッズなどごく一部の種類が売れ行きを伸ばしたものの、その他はほとんどが不調。前年同月比10ポイント以上のマイナスを見せただけのことはある。住関品は日用品の一部と健康食品やメイクアップ系の化粧品が堅調。気になるのは家具・インテリアの部門で、例示されている品目すべてに「不調」という説明がつけられている。過去において家具系が不調でも組み立てボックスや収納用品は「好調」であることが多かっただけに、住宅周りの不況ぶりが深刻なことをうかがわせる内容といえる。

いくつかの消費者の消費動向データや調査結果などからも、「スーパーやデパート」「コンビニ」「100均などの安売り店」など、消費者は各種類店舗毎に購入アイテムを見極め、安いものをつまみ食いならぬ「つまみ買い」する傾向が強まっている。さらに今回のリリースコメントからは、少なくともスーパーやデパートにおける「特売」が、その商品分野以外の集客販売促進にはつながりにくいことが「企業の口から」明らかにされてしまった。これは「じわじわと来る」タイプの衝撃といえるだろう。

また衣料品の不調さの原因として「天候の温暖さ」が挙げられているが、他の調査機関の調査結果から、アウトレットモールだけでなくインターネットにも流れていることをうかがわせる様相が見て取れる。これについてはまた機会を改めて解説するが、スーパーやデパートの主要商品の一分野である衣料品が少しずつ他の業態に「食われている形」に他ならない。先月のコメントの繰り返しになるが、スーパーやデパートも経済状況や消費者動向を見極め、消費者の「消費の流れ」やニーズにあった「変身」をすることがもとめられているのだろう。